車があれば何でもできる! 『ワイルド・スピード ICE BREAK』は映画というより“プロレス”だ

『ワイスピ』シリーズは“プロレス”だ

 さらにワイスピは死んだと思ったキャラが生き返る展開もあり、過去にも銃で撃たれても死なないという価値観が提示されたが(なんだそれは)、『ICE BREAK』では更に「死」の基準が緩くなった。これはつまり『EURO MISSION』で退場したガル・ガドットも生きている可能性があるのだ。彼女は現在ワンダーウーマンを演じているが、それはつまりDCという他団体の興行に参加しているだけであり、そっちが終われば戻ってくるかもしれない。ガル・ガドットに限らず、他にも過去に死んだキャラがドンドン復活する可能性も本気である。

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 本作『ICE BREAK』によって、もはや映画ではなく、もっとザックリした意味での「興行」になりつつあるワイスピ。もちろん、それが良い事ばかりだと言うつもりはない。個人的には愛着のあったキャラがぞんざいな扱いを受けた点に不満を覚えたのも事実だし、決着の付け方に疑問を抱く部分もあった。しかし、今はまだそれらの問題点よりも、これからの展開への期待の方が大きい。これからワイスピというリングで何が起きるのか? 果たして次は誰がリングに上がるのか? それによってシリーズがどうなっていくのか? 恐らく作っている側にも分からないだろう。「元気があれば何でもできる」と「車があれば何でもできる」の精神で、今後もハチャメチャなカー・アクションと度肝を抜くスターの参戦など、面白いことをしてくれと祈るばかりである。

■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

■公開情報
『ワイルド・スピード ICE BREAK』
全国公開中
監督:F・ゲイリー・グレイ
脚本:クリス・モーガン
製作:ニール・H・モリッツ
出演:ヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサム、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソン、クリス・リュダクリス・ブリッジズ、ナタリー・エマニュエル、エルサ・パタキー、カート・ラッセル、シャーリーズ・セロン、スコット・イーストウッド、ヘレン・ミレン
原題:「Fast & Furious 8」
(c)Universal Pictures
公式サイト:http://wildspeed-official.jp/

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