映画『クレヨンしんちゃん』は大人こそ観るべき! 25年間描き続けてきた、多様性の肯定

相田冬二の『クレヨンしんちゃん』評

 この映画の魅力は、こうした大文字の主題だけにあるわけではない。

 子供たちだけでヒッチハイクすることの困難がここでは描かれるが、彼らを車に乗せるのが、宇宙人おたくの青年や性的マイノリティであるというさり気ない描写にも、本シリーズの良心が静かに顕れている。

 異端を排除するのではなく、多様な人々と共棲すること。きわめて真っ当なメッセージが、主軸にも細部にも宿っている稀有なアニメーションである。

■相田冬二
ライター/ノベライザー。雑誌『シネマスクエア』で『相田冬二のシネマリアージュ』を連載中。otocotoで『Invitation』の元編集長・小林淳一と「SMAPとは何だったのか」緊急対談掲載中。最新ノベライズは『嘘の戦争』(角川文庫)。

■作品情報
『映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ』
全国公開中
監督脚本:橋本昌和
原作:臼井儀人(らくだ社)
「月刊まんがタウン」(双葉社)連載中
テレビ朝日系列で放送中
声の出演:矢島晶子 他
配給:東宝
(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2017
公式サイト:http://www.shinchan-movie.com/

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