高橋一生、役者としての強みは“声”と“体”にアリ 『直虎』政次役のすごさを読む

 もちろん、映像ならではの回想シーンもあるので、そこで実際に死んでいった人物が登場し、その存在を思い出させられることもあります。しかし、芝居そのもので誰かの死を背負う表現ができていれば、自ずとその人物の存在感は立ち上がってきます。場合によっては、生きていた頃以上に、その命の重さを感じさせることだってできるのです。一生さんの芝居が忘れ難いのは、彼の表現の中に幾人もの人間の命が折り重なっているからかもしれません。きっと、三浦春馬さん演じる井伊直親の姿も、一生さんのこれからの芝居の中に見ることができるでしょう。

 そして直親の死を背負う政次自身も、史実ではこの数年後に退場してしまいます。最後にすべてを背負う柴咲コウさんは、井伊直虎としてどう生きて行くのか。このドラマの肝は、そこにあると言っても過言ではありません。

■登米裕一
脚本家・演出家。映画『くちびるに歌を』CX『おわらないものがたり』NHK『謎解きLIVEシリーズ』などの脚本を担当。大学時代に旗揚げをした劇団『キリンバズウカ』の主宰も務める。個性豊かな登場人物たちによる軽快な会話の応酬を持ち味としており、若手作家の躍進著しい演劇界の中でも、大きな注目を集める。また演技指導家としても評価を得ており、現在多くのワークショップ依頼を受けている。

■番組情報
『おんな城主 直虎』
NHK総合 毎週日曜午後8:00〜8:45
BSプレミアム 毎週日曜午後6:00〜6:45
NHK総合 毎週土曜午後1:05〜1:50 (再放送)
制作著作 NHK
公式サイト http://www.nhk.or.jp/naotora/

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