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『SING/シング』は現代女性の“自立”も描くーーフェミニズム映画としての側面を読む

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 子ども向けかと思いきや、大人も楽しめる。『SING/シング』もまさしくそんな作品だった。コミカルに描かれたキャラクターたちだが、それぞれの生い立ちは意外と現実的で、リアルな人間社会と大きくリンクしている。中でも、ロジータ、アッシュ、ミーナという3人の女性キャラには、同じ女性としてとりわけシンパシーを感じた。夢を追う過程で、自分自身を受容していく彼女たち。その描写からは、フェミニズム的なメッセージも読み取れたように思う。

家事と子育てに追われる専業主婦、ロジータ

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 ブタのロジータは、25匹の子どもを持つ専業主婦。毎日家事と育児に追われながら、「母」として、「妻」として生きている。彼女に「ひとりの女としての自分」を見つめる余裕などあるはずもなく、外出時はノーメイクで、ファッションにも無頓着だ。

 作品を見ていて驚いたのは、彼女が自分の時間を捻出するために家事と育児を機械化したことだ。育児を機械に任せることの是非はさておき、家庭内労働を能率化して、余剰時間で自己投資をするのは素晴らしいアイディアだろう。こうして、ロジータは「母」でも「妻」でもない、自分自身の夢と向き合う時間を手に入れた。

 当たり前だと思っている日常は、ちょっとした知恵を凝らせば一変するものなのかもしれない。同時に、日常や常識から抜け出すためには、勇気だけでなくアイディアも必要なのだろう。ロジータの行動には、そんなヒントがあった。

恋人の3歩後ろを歩く、アッシュ

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 パンクロックを愛する10代の少女、アッシュ。個性的なファッションも相まって一見自己主張の激しいタイプに見えるが、意外にも恋人の前では従順で謙虚だ。アッシュはもともと恋人と2人で音楽活動をしていたのだが、作曲とメインボーカルは彼で、彼女はコーラス担当。つまり、アッシュは彼の引き立て役でしかない。

 しかし、彼とペアで出場したコンテストで、合格したのはアッシュひとりだけだった。ここでようやく彼女は自身の道を歩みだすかと思いきや、そうではなかった。彼女は自分が成功することで、それが彼にも還元されるようにと望んだのだ。だからその後もしばらくは、はたから見ればモラハラとも取れる彼の発言にも抗おうとしない。

 アッシュははっきりと己を持っているように見えるが、内実は恋人に依存しているのだ。彼女が自立するためには、社会的に独立するだけではなく、恋人への精神依存を断ち切る必要がある。そうした意味では、彼との別れは必然だったのだろう。一見パンクなアッシュだが、「仕事はバリバリこなすのになぜか男運が悪い」という、世のキャリアウーマンたちにもどこか似ているように感じた。

      

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