まだあと5年は安泰? 制作陣が世代交代した『相棒-劇場版IV-』好発進!

制作陣が世代交代した『相棒』が好発進
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 最初の2時間ドラマから数えると17年、劇場版第1作から数えても9年。人気コンテンツとしてすっかり安定期に入っている『相棒』が、その底力を発揮した。先週末の動員ランキング、初登場でダントツの1位となった『相棒-劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』。土日2日間の動員31万7000人、興収4億200万円という数字は、日本映画、外国映画、実写作品、アニメ作品を問わず、今年に入ってから最高の記録。東映の発表によると、現時点で観客動員数は興収21億3000万円をあげた2014年公開の前作の190%、シリーズ最大のヒット作で興収44億4000万円をあげた2008年の1作目とほぼ同じ初動とのこと。同じ東映作品『キセキ -あの日のソビト-』も先週末の動員ランキングでまだ4位とヒット中のため、『相棒』の公開スクリーン数はシリーズの過去作よりもちょっと少なめ。それでこの数字を叩き出したわけだから、間違いなく快挙と言っていいだろう。

 今回の『相棒-劇場版IV-』の大ヒットは、2つの点でこのシリーズに大きな意味をもたらすものだ。一つは、約44億→約32億→約21億と、東映の実写作品としては十分に大ヒットと呼べる成績を残してきたものの、シリーズを追うごとに興収が目減りしてきた流れが、本作で止まる見込みが濃厚なこと。これまで『相棒』は主演・水谷豊の相棒役が変わるごとに映画化されてきていて、本作は反町隆史が相棒役になってから初の劇場版となるが、それ以外は特に大きなトピック(たとえば「シリーズ最終作」と銘打たれるなど)のない、いわば平常運転での映画化作品。それでいてここで上昇気流にのったことは、まだまだこの先もシリーズが安泰であることを示している。

 もう一つは、本作における監督が橋本一、脚本が太田愛と、両者とも『相棒』の劇場版では初起用のスタッフであること。2013年のスピンオフ作品『相棒シリーズ X DAY』でも監督を務めている橋本一、テレビシリーズのシーズン10からシーズン12にかけて元旦スペシャルの脚本も担当してきた太田愛、いずれも相棒ファンにはお馴染みのスタッフであるが、これまでの劇場版は、監督が和泉聖治、脚本が輿水泰弘と、2000年に放映された最初の2時間ドラマ以来の鉄壁のオリジナルスタッフによって手がけられてきた。『相棒』がシリーズとしてフレッシュさをキープしている要因は、相棒役の交代だけでなく、このような制作陣の世代交代も寄与しているのだ。

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