『べっぴんさん』が急激に面白くなった理由ーー“無時代感”と50年代アイテムのバランスから読む

『べっぴんさん』が急激に面白くなった理由

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 それにしても、芳根京子と井頭愛海は、どことなく雰囲気が似ている。とくに大きな涙袋を含めた目元と、笑った時の表情は、よく見つけてきたと何度思ってしまったことか。ふと思い返してみれば、芳根京子はこの「X21」の最年長メンバーの吉本実憂と『表参道高校合唱部!』で同級生を演じていた。今回は同じグループのメンバーと、母娘役ということになるわけだ。

 本作が始まるまでは、芳根京子に母親役ができるのか少々不安な部分もあった。それでも、前半部で仕事に没頭しながら時折少女のようなあどけない表情を残し、ぎこちなくも着実に人の親になっていく演技からは、改めて彼女のポテンシャルの高さを感じられた。そして後半部ではこれまで以上に難しい、実年齢で4つしか変わらない井頭との親子役だ。

 とはいえ、メインヒロインが実年齢に関係なく、幅広い年代を演じ分けるというのが、朝の連続テレビ小説の定番である。主人公・すみれが百貨店展示のテーマとして“女の一生”に向き合ったように、女優・芳根京子は演技としてのそれに向き合い、手探りで答えを探している最中なのだろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■番組情報
NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』
制作局:NHK大阪放送局
出演:芳根京子、生瀬勝久、菅野美穂、蓮佛美沙子、高良健吾、谷村美月、百田夏菜子、土村芳、永山絢斗、市村正親、名倉潤、松下優也ほか
作:渡辺千穂
音楽:世武裕子
平成28年10月3日(月)〜平成29年4月1日(土)全151回(予定)
<総合>
(月〜土)午前8時〜8時15分/午後0時45分〜1時[再]
<BSプレミアム>
(月〜土)午前7時30分〜7時45分/午後11時〜11時15分[再]
(土)  午前9時30分〜11時[1週間分]
<ダイジェスト放送>
「べっぴんさん一週間」(20分)
<総合>
(日)午前11時〜11時20分
「5分で『べっぴんさん』」
<総合>
(土)午後2時50分〜2時55分     
(日)午前5時45分〜5時50分/午後5時55分〜6時
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/beppinsan/

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