MCUの新しい時代はここから始まる!? 『ドクター・ストレンジ』初登場1位の意味

『ドクター・ストレンジ』初登場1位の意味

 それらの要因とは相容れないものとなってしまうかもしれないが、アメコミ・スーパーヒーロー映画のファンとして少々歯痒かったのは、本作の主人公ドクター・ストレンジが、今年11月(本国)公開の『ソー』シリーズ3作目『Thor: Ragnarok』、そして来年5月(本国)公開の『アベンジャーズ』シリーズ3作目『Avengers: Infinity War』にキーマンとして登場することが明らかになっているにもかかわらず、それがあまり周知されていないことだ(『ドクター・ストレンジ』のエンドロールの途中にはそれが示唆されるシーンも登場するので見逃さないように)。特に日本でも2作連続で興収30億を超えているマーベル・シネマティック・ユニバース最大のヒットシリーズ『アベンジャーズ』へのドクター・ストレンジ参入は、本来なら大きなセールスポイントとなるはずなのだが、日本の宣伝においてそこが強調されることはなかった。

 マーベル・シネマティック・ユニバースは、今でこそ日本でも人気が安定してきたが、海外におけるその圧倒的なコンテンツ力と比べればまだブランドの成長過程にある。いたずらにマーベルの他のシリーズとの連携を強調すると、新規ファン開拓にとってはハードルとなってしまうことを危惧する気持ちはよくわかる。しかし、そろそろマーベルというブランドに全幅の信頼をおいて、他のシリーズとの連携を宣伝でも前面に押し出していいような気もするのだが。「スパイダーマンかアイアンマンが出ていないと日本ではヒットしない」という時代が、ようやく過去のものになりつつあるのだから。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

■公開情報
『ドクター・ストレンジ』
1月27日(金)全国ロードショー
監督:スコット・デリクソン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、ティルダ・スウィントン、レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、マッツ・ミケルセン
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2017MARVEL
公式サイト:Marvel-japan.jp/Dr-strange

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