黒人×白人の芸人コンビはなぜ転落した? 大塚シノブの『ショコラ~君がいて、僕がいる~』評

大塚シノブ『ショコラ~君がいて、僕がいる~』評

 近頃、“じゃない方芸人”なんて言葉がある。目立っている方、そうでない方。スターの存在、影の存在。でも、ネタは結構“じゃない方”が考えていたりもする。それでもなぜか愛されて日が当たるのは、真面目に努力で支える方ではなく、自由奔放、感性のまま生きるタイプの方だったりもする。本来コンビとは凹凸を補い合って、支え合って成り立つ。二人で一つ。しかし、成功するとそのバランスが崩れたりもする。コンビがバランスを保つのは難しいことなのか。

 自由奔放で豪快な人気者黒人芸人ショコラと、地味で堅実な努力家白人芸人フティット。一方は光を浴びて輝き、一方は日陰で耐えている。落ちぶれたショコラを、裏切られても結局最後まで見捨てることのなかったフティット。まるで示し合わせたかのような不思議な組み合わせの二人。お互いどんな思いがあろうと、やはり二人は永遠。いいコンビである。人生、誰のせいでもなく、なんのせいでもない。

 チャーミングすぎる演技でショコラを演じるオマール・シー。繊細な静の演技が胸を打ち、本物かと見紛うほどの完璧な芸でフティットを演じたジェームス・ティエレは、聞いて納得、喜劇王チャーリー・チャップリンの実孫。歴史の再現に、こんなふたりだったのかと思いを馳せながら。

 今年、ショコラ没後100年になる。歴史から消し去られていた芸人の伝説が、今掘り起こされる。さて、そこから何を感じるだろうか。

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■大塚 シノブ
5年間中国在住の経験を持ち、中国の名門大学「中央戯劇学院」では舞台監督・演技も学ぶ。以来、中国・香港・シンガポール・日本各国で女優・モデルとして活動。日本人初として、中国ファッション誌表紙、香港化粧品キャラクター、シンガポールドラマ主演で抜擢。現在は芸能の他、アジア関連の活動なども行い、枠にとらわれない活動を目指す。
ブログ:https://otsukashinobu5.wordpress.com/
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『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』予告編

■公開情報
『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』
2017年1月21日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
監督:ロシュディ・ゼム
出演:オマール・シー、ジェームス・ティエレ、クロティルド・エスム、オリヴィエ・グルメ
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
2015年/フランス/119分
(c)2016 Gaumont / Mandarin Cinema / Korokoro / M6 Films
公式サイト:chocolat-movie.jp

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