ゴールデングローブ賞も受賞! ポスト・カンバーバッチはトム・ヒドルストンで決まり?

ゴールデングローブ賞受賞“トムヒ”の魅力

 去る1月9日にアメリカ・ロサンゼルスで行なわれた第74回ゴールデングローブ賞。テレビの部リミテッドシリーズ/テレビムービー部門男優賞では、『ナイト・マネジャー』のトム・ヒドルストンが、『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』のコートニー・B・ヴァンスを抑えてみごとに受賞した。トム・ヒドルストンは、マーベル・スタジオ製作の『マイティ・ソー』シリーズのロキ役で注目され、既に日本でも洋画・海外ドラマファンの間では“トムヒ”の愛称で呼ばれる人気急上昇中のイギリス人俳優だ。今回の受賞で一躍、同じ英国出身のスター、ベネディクト・カンバーバッチに次ぐポジションを手に入れたと言っても、過言ではないだろう。

 『ナイト・マネジャー』の原作者は、『ナイロビの蜂』などで知られるスパイ小説の名手ジョン・ル・カレ。出版から20年あまりの間、ブラッド・ピットなどの大物が映像化を試みてきたが、今回、ドラマのミニシリーズとして英BBC局とアメリカのAMCが共同制作した(日本ではAmazonプライムで配信中)。ゴールデングローブ賞授賞式のレッドカーペットで、トムはこう語っている。

 トム・ヒドルストン「とにかくジョン・ル・カレの原作小説に基づいた脚本が素晴らしいんだよ。なんと言ってもカレはスパイ小説の巨匠でしょう? 僕はスパイものが大好きなんだ。僕が演じたジョナサン・パインは、スパイとして武器商人の下に潜入する。彼は4つの異なるパスポートを持ち、4つの違う名前も持っているんだ」(※筆者意訳)

 ここでなぜかニコール・キッドマンが乱入し、「もうドラマの説明は充分よ」と話を遮ってしまったのだが(お友達アピールか!)、そこですかさずニコールにマイクを向け「授賞式に来られてどう?」とインタビュアーの役に回るトムはソツがない英国紳士で、ドラマで演じたパインそのものだった。

 そんな主人公パインは、エジプトのホテルで働くナイト・マネジャー(夜間担当の支配人)だったが、恋に落ちた女性を悪徳武器商人ローパー(ヒュー・ローリー)の手下に殺されてしまう。そして、英国秘密情報部のメンバーだった女性バー(オリヴィア・コールマン)に勧められて、ローパーへの復讐を決意。ローパーの部下になりすまして、彼の不正の証拠をつかもうとする。しかし、ローパーの愛人である若く美しいジェド(エリザベス・デビッキ)に心惹かれ、危険を冒してしまうというストーリーだ。

 今回のゴールデングローブ賞では、ヒュー・ローリーが助演男優賞、オリヴィア・コールマンが助演女優賞を獲得し、トムを含め3人受賞ということで、欧米での評価の高さをうかがわせた。ストーリーの骨格は王道のスパイもの、潜入捜査ものだが、「アラブの春」などを描いて現代性を付加し、それぞれハマり役であるキャストの演技で魅せていく。オリヴィア・コールマン演じる捜査官バーが、妊娠中でしかも高齢出産でありながら、人道に外れたローパーを執念で追い詰めていくというドラマ独自のキャラクター造形も素晴らしい。

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