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『父を探して』Blu-ray&DVD発売 ニューディアー代表・土居伸彰氏インタビュー

『父を探して』と『君の名は。』の共通点とは? 配給会社代表が語る、インディペンデントアニメの世界的潮流

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デジタル技術がアナログの魅力を増幅した

20170111-sagashite-sub3.jpeg(c)Filme de Papel

ーーこの作品の手法とアニメーション全般の手法についてお伺いします。この作品の、アニメーションの手法として特徴的な点はどんなところですか?

土居:デジタルとアナログのハイブリッドなところですね。画面上に見えているものはすべて手描きなんです。これも映像特典のメイキングを観ていただけるとよくわかりますが、素材はクレヨンや絵の具、色鉛筆などいろいろな画材で描かれています。

ーークレヨンや色鉛筆で描いた、紙の質感もそのまま写っていますよね。

土居:そうなんです。この作品はデジタルの良さも生かしていて、ハイビジョン時代の新しい手描きアニメーションだなと思いました。ブルーレイのハイビジョン画質で観たらすごくよくわかるのですが、デジタルでスキャンした時の紙のシワだったり、水彩絵の具を使った時のちょっとボコッとした感じだったり、細部にも良さがあって、デジタルハイビジョンではそれがすごくよく見えるんです。そのような細かい部分が物語にも寄与している。この作品は名もなき人々の魂を描くような物語ですが、彼らのパッションや情念が、そういった細部に宿っているような感じがします。細部からその気持ちを受け取ることで、さらに圧倒されてしまうんです。それに、キャラクターデザインがものすごくシンプルなのも特徴です。ほとんど棒線画に近いのですが、そのスタイルも物語に寄与している。この少年の物語も、無数にある名も無き人々の物語のひとつにすぎないというような、ある種の匿名性・抽象性みたいなものが宿っています。

ーー“ブラジルの現実”というローカルなところから着想を得た物語だけど、万人に普遍性を持って届けるために、アニメーションならではの抽象性が利用されたということでしょうか。

土居:そうともいえますね。ブラジルの物語とはいえ、日本でも同じような状況に置かれている人はいると思いますし、抽象的な表現なので、生まれ育った場所が違っても、自分の物語として見ることを誘ってくるところがあるんです。

『君の名は。』と『父を探して』意外な共通点とは

20170111-sagashite-sub4.jpeg(c)Filme de Papel

ーー土居さんは『ユリイカ』2016年9月号で、『君の名は。』の新海誠監督の人間観は、世界のインディーズアニメーション作家にも共有されているものだと書かれていらっしゃいましたよね。

土居:本作のアレ・アブレウ監督もまさにブラジルにおける新海誠的な存在です。そういう立ち位置のアニメーション作家は、いま世界各地から出てきているんです。土地性を拭い去られた普遍的な寓話を語るというよりは、その土地の空気感を吸収した作品を作る作家です。例えば、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のアイルランド出身のトム・ムーア、アメリカのインディペンデント界のスターのドン・ハーツフェルト、『戦場でワルツを』で知られるイスラエルのアリ・フォルマンなどが代表的で、自分自身の生まれ育った国・地域を舞台にしてアニメーションを作る傾向が世界的にみられます。それは日本でいうと、新海誠監督が切り開いてきた道だと思うんです。新海監督は、海外の映画祭などではアレ・アブレウのような作家と並列で語られうる存在になっている印象があります。ここ5〜10年くらいに世界各地で見られる、メインストリームから少し外れたところから出てきた、新しい風を吹き込むような流れを代表するメルクマール的存在。巨視的にみてみると、アレ・アブレウや新海監督は、そういう立ち位置にいます。

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