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『ブラック・ファイル 野心の代償』シンタロウ・シモサワ監督インタビュー

『ブラック・ファイル』監督が語る、アル・パチーノ&アンソニー・ホプキンスの素晴らしさ

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「ハリウッドに日系人は本当に少ない」

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ーーいま名前が挙がった監督たちとも仕事をしてきたアル・パチーノとアンソニー・ホプキンスが初共演を果たしているのが、本作最大の見どころでもありますね。

シモサワ:僕もキャスティングに関わったんだけど、2人が出演してくれたのは本当に奇跡的なことだった。「まさか出てくれるわけがないよな」と思いながらオファーしたら本当に実現してしまった。本来であればこんなに簡単に行くはずがないんだけどね。アル・パチーノにオファーをした時は彼の自宅まで出向いてミーティングをしたんだ。僕はとにかく緊張してしまって、汗びっしょりになりながら一方的にベラベラと喋ってしまった。「失敗したな」と反省していたら、帰り際にアル・パチーノが「ぜひ僕をご検討ください」と手を差し伸べてきて、握手をしてくれたんだ。その意外な言葉にすごく驚いたよ。本来は僕が「この映画をご検討ください」と言うべきだからね。これはアンソニー・ホプキンスもそうなんだけど、撮影現場では若いスタッフたちが彼らからアドバイスをもらおうとするんだ。例えば、美術監督として成長するにはどうしたらいいかというような感じでね。彼らはそういう相談に対しても、とても真面目に紳士的な対応をする。常に、自分たちが持っているものを次の世代に残していこうと考えているんだよね。演技はもちろんだけど、人間としても本当に素晴らしい人たちだよ。

ーー主演のジョシュ・デュアメルはそんな2人に引けを取らない存在感を放っていました。

シモサワ:彼は本来、白馬の王子さまのような役を演じるタイプだ。そういうタイプの役柄ではないけどどうだろうとアプローチをしてみたら、それが逆に興味をそそられたようだね。彼は本当はいろいろな役柄を演じたいタイプで、それこそヴィランもやってみたいと言っていた。なかなかそうはいかないらしいけどね(笑)。役者としてもかなり幅があって、本当に一生懸命役に取り組む役者だ。

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ーー初監督作でこれだけのキャストをまとめるなんてなかなかない経験だと思います。実際に初めて監督をやってみてどうでしたか?

シモサワ:あんなに恐い思いをしたのは初めてだったね(笑)。それでも、こうやって話をしていくうちにお互いの距離が縮まっていくのと同じで、何時間も一緒に撮影をやっていくうちに、アル・パチーノやアンソニー・ホプキンスというすごい人たちと一緒に仕事をしているという感覚はなくなっていったんだ。アンソニー・ホプキンスにセリフのアクセントについてアドバイスしたことがあったんだけど、スクリプター(記録係)に「そんなことアンソニー・ホプキンスに言うことじゃない!」と冗談交じりで言われてしまったぐらいだよ(笑)。友人から彼らのサインをねだられて、改めて自分はすごい人たちと仕事をしているんだと思い知らされたね。

ーーあなたはテレビドラマ界で名を馳せてから映画の世界に入りました。最近はもともと映画の世界で活躍していた人がテレビドラマの世界に行くことが増えてきていますよね。現在のテレビドラマの世界をどう見ていますか?

シモサワ:僕はテレビドラマ界での仕事が長かったから、何か違うことをやってみたくて映画の仕事もやるようになった。もともと映画の世界に行きたかったっていうのもあるしね。でも君が言うとおり、いまのテレビドラマ界は本当に活気付いている。ちゃんとお金になって作り手にとっても安定した収入になるし、何よりも作り手の色をきちんと出せるということが素晴らしい。『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ブレイキング・バッド』なんかまさにそうだよね。テレビドラマ界はますます面白くなると思うよ。それと、これはハリウッドで仕事をしていて感じることなんだけど、ハリウッドには日系人が本当に少ないんだ。『THE JUON/呪怨』で一緒に組んだプロデューサーのロイ・リーには韓国系アメリカ人の友人が多くて、その中にはそれぞれの業界でそれなりの地位にいる人も多い。アジア系の人たちには連帯感があって、みんなで結束する傾向がある。まるでアジアン・マフィアのようにね(笑)。これはユダヤ人やゲイコミュニティでもそうだけど、誰かが困ったら手を差し伸べるような“輪”があるんだ。ハリウッドでも人種の均衡が取れるという意味ですごくいいことだと思うし、実際、アジアを舞台にした作品も増えつつあるから、僕も嬉しく思っている。だけど、僕のような日系人や日本人でハリウッドで活躍している人は、他の人種と比べて相当少ない。僕はこれまで20年近くこの業界で仕事をしてきたけど、実際、日系アメリカ人に会ったことがないんだ。だから、もっと日系人や日本の人たちにもハリウッドで活躍してほしいと願っているよ。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『ブラック・ファイル 野心の代償』
2017年1月7日(土)より新宿ピカデリーほか全国公開
監督:シンタロウ・シモサワ
出演:ジョシュ・デュアメル、アンソニー・ホプキンス、アル・パチーノ、イ・ビョンホン、アリス・イヴ、マリン・アッカーマンほか
提供:カルチュア・パブリッシャーズ
配給:松竹メディア事業部
2015/アメリカ/106分/シネスコ/原題:MISCONDUCT
(c)2015 MIKE AND MARTY PRODUCTIONS LLC.ALL Rights Reserved.
公式サイト:blackfile.jp

      

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