『ファインディング・ドリー』監督&プロデューサーが語る、ピクサー作品成功の秘訣

『ドリー』監督&プロデューサーインタビュー

 “アニメーション界のアカデミー賞”とも言われる第44回アニー賞で作品賞をはじめとする3部門にノミネートされた、『ファインディング・ドリー』のMovieNEXが11月22日に発売された。第76回アカデミー賞で長編アニメ賞を受賞した『ファインディング・ニモ』の続編となる本作は、忘れんぼうのドリーが家族を探すために“人間の世界”へと旅に出る冒険ファンタジーだ。

 リアルサウンド映画部では、『ファインディグ・ドリー』MovieNEXの発売を記念して、米カリフォルニア州エメリービルに位置するピクサー・アニメーション・スタジオで現地取材を行った。複数回にわたって、『ファインディング・ドリー』を中心とした取材記事をお届けする。第1回は、『ファインディング・ニモ』に続いて監督を務めたアンドリュー・スタントンと、プロデューサーのリンジー・コリンズにインタビューを行い、『ファインディング・ニモ』に続いて大成功を納めた本作を改めて振り返ってもらいながら、気になる続編の可能性についても訊いてみた。

コリンズ「ピクサーは若いクリエイターにも物語を作る機会を与えている」

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ーー『ファインディング・ニモ』に続いて『ファインディング・ドリー』も世界中で大きな成功を収めましたね。

アンドリュー・スタントン(以下、スタントン):『ファインディング・ニモ』は映画が世界中でヒットしたのはもちろんだけど、ホームビデオの人気にも驚かされた。なんたって世界で一番売れたDVDで、つまりは家で何度も観てくれている人がたくさんいるということだからね。『ファインディング・ニモ』を観て育った、“ジェネレーション・ニモ(ニモ世代)”と呼ばれる層があるくらいなんだ。『スター・ウォーズ』のような特別な作品を除いて、そんな状況で続編が作られることなんてそうあることではない。だから今回は『ファインディング・ニモ』の恩恵を受けることができて幸運だったよ。

リンジー・コリンズ(以下、コリンズ):その通りね。『ファインディング・ドリー』を観てくれた人のうち、ほぼ100%の人が『ファインディング・ニモ』を観ていたと思う。次に何が起こるのかを楽しみに待っていてくれている人が大勢いたことは、私たちにとっても心強かったわ。

ーー『ファインディング・ニモ』や『ファインディング・ドリー』も含めて、ピクサーはどの作品も絶大な支持を得て高い評価を受けていますよね。これは若いクリエイターの育成に力を入れているピクサーの社風によるところも大きいのでしょうか?

コリンズ:その通りだと思うわ。ピクサーでは、初期の頃から才能あふれる若い人々を集めて、できるだけ早く彼らにチャンスを与えてきた。だからこそ、『トイ・ストーリー』が公開された1995年の早い段階で成長できたんだと思う。初期の成長期からのスタッフがいまもまだこの会社にたくさん残っているのも素晴らしいことだわ。だから、物語を作り出す共同作業にも大きなメリットが得られるの。作品を作り始めてから最初の3〜4年くらい、作業がうまくいく直前までは失敗がずっと続いてしまうものなの。よく冗談で「失敗のために共同作業している」と言っているぐらいだからね。失敗は恥ずかしいし、心細いし、傷ついてしまうものだけれど、この会社が作り出した家族のような社風には、それを癒す働きがあると思う。クリエイターたちの家族のような雰囲気があるからこそ、「さあ、長くつらい工程だけどもう1回やろう!」という気にさせてくれるんだと思う。

スタントン:つい先日、この先10年間に製作する長編映画についての会議をしたんだ。面白いのは、ボードに書き出されたのが作品名ではなく監督名だったこと。それは僕にとって大きな意味を持っている。僕たちは常に、作品ではなく人材に投資をしてきた。人物こそが作品を決めていくものだからね。僕はこのことをとても誇りに思っているよ。

コリンズ:若いクリエイターにも物語を作る機会を与えるということよね。そんなことができるのは素晴らしいことだわ。

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