『幸せなひとりぼっち』監督が語る、スウェーデン映画事情「ジブリ作品やゴジラは親しまれている」

『ひとりぼっちの幸せ』監督インタビュー

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ーー本作にも言えることですが、スウェーデンのコメディ映画は、皮肉やブラックユーモアを押し出した作品が多いですよね。

ホルム:スウェーデン人が、メランコリックで悲観的な人種だからかもしれないね(笑)。ただ、ブラックユーモアには知性に裏打ちされた面白さがあるから、ドタバタ劇よりも多くの人に受け入れられると考えている。もちろん、『Mr.ビーン』みたいなコメディ映画も人気があるけどね。日本の映画だと『トトロ』などのジブリ作品は素晴らしいね。上の世代から下の世代まで、家族みんなで観れるのが良い。

ーー日本の映画は、スウェーデンでもポピュラーに親しまれているのですか?

ホルム:ジブリ作品はもちろん、ゴジラなどはスウェーデン人も知っている。私個人としては、黒澤明監督の作品を若い頃にたくさん観たよ。コメディと悲劇の要素が上手く混ざっていて、すごく好きなんだ。(黒澤明監督作品には)スウェーデンにはないユーモアを感じるよ。

ーー本作は、スウェーデンのアカデミー賞と言われる「ゴールデン・ビートル賞」で、観客賞と主演男優賞を受賞しています。また、世界17カ国で公開されますが、作品を撮る際に映画祭の賞や世界のマーケットを意識することはありますか?

ホルム:ハリウッドでは、よくタイミングが重要と言われているが、この作品についてもそれだね。本当にタイミングが良かった。ちょうど今、普通の人々が織りなす、普遍的な恋愛映画が求められていたんだと思う。それに、作品を制作しているときに、世界のマーケットを意識することはない。作品が完成した上で、世界にどうアピールしていくのか戦略を練り、最善を尽くすことは厭わないけど。いちフィルムメーカーとしては、映画はパーソナルなもので良いとも思っている。自分が生活する土地や、身の回りのことを丁寧に描いていけば、チャンスと同時に世界へ広がっていくはずさ。

(取材・文=泉夏音)

■公開情報
『幸せなひとりぼっち』
12月17日(土)新宿シネマカリテ&ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
監督・脚本:ハンネス・ホルム
出演:ロルフ・ラスゴード、バハー・パール、フィリップ・バーグ、アイダ・エングヴォル、カタリナ・ラッソン
原作:フレドリック・バックマン 訳:坂本あおい(ハヤカワ書房刊)
2015年/スウェーデン/原題:EN MAN SOM HETER OVE/5.1ch/116分/シネスコ/日本語字幕:柏野文映
後援:スウェーデン大使館
配給・宣伝:アンプラグド
(c)Tre Vanner Produktion AB. All rights reserved.
公式サイト:http://hitori-movie.com/

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