“勝ち敗け”は点ではなく線で見るものーー『真田丸』が描き切った家族の物語

『真田丸』は“勝ち敗け”をめぐるドラマ

 幸村の死を悟った信之が「参るぞ」と言うと、OPテーマと共に今までの名シーンが流れる。そして最後にナレーションで信之が松代藩十万石の大名となり、幕末に松代藩から徳川幕府崩壊のきっかけを作る天才兵学者・佐久間象山を生み出すことになることが語られて、物語は終わる。

 『真田丸』というタイトルは真田家を船に見立てたもので、本作は一貫して家族の物語だった。豊臣家に付いた信繁が負けても徳川家に付いた信之が大名となることで真田家は生き延びた。たとえ、いくさに負けても一族のものが生き続ける限りそれは敗北ではない。勝ち敗けとは点ではなく線で見るものなのかと、唸らせる結末だった。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
『真田丸』
作:三谷幸喜
制作:屋敷陽太郎
演出:木村隆文
出演:堺雅人、内野聖陽、大泉洋、長澤まさみ、黒木華、木村佳乃、草刈正雄、高畑淳子ほか
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/
(c)NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる