3年前の大ヒット作『永遠の0』から約半減 『海賊とよばれた男』初登場4位の鈍いスタート

 公開直後のスポーツ紙などの報道(参考:岡田准一「海賊-」好発進、全体の年間興収新記録も)では「興収50億を狙えるスタート」などと喧伝されていたが、さすがにこれは大本営発表に過ぎると指摘せずにはいられない。同じ12月の公開作とはいえ、強力なライバル作品不在で年間最も動員の見込める正月期に圧勝した3年前の『永遠の0』と違って、今年の正月期は現時点でもダブルスコアで差をつけられている『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』に加えて、今週末には『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、そして同じ東宝配給作品の『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』という超強力作の公開が控えているのだから。

「『海賊とよばれた男』と『妖怪ウォッチ』では観客層がまったく違うから関係ないのでは?」と思う人もいるかもしれないが、先週末に『君の名は。』からスクリーンを奪った『海賊とよばれた男』は、今後、初週の鈍いスタートによってスクリーン数(さらに言うなら、各シネコンにおける上映館のキャパシティ)を奪われる側になる。高齢層の観客の比率の高さから今のところウィークデイには一定の強さは発揮しているが、「50億を狙える」どころか、その半分の25億が当面の目標になると本稿では分析しておこう。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

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