のん、上白石萌音、芳根京子、高畑充希……“方言の演技”に優れた若手人気女優たち

のん、上白石萌音…方言が上手い女優たち

 一方、テレビで見ることができる方言といえば、やはり前述の『あまちゃん』に代表されるようにNHKの朝の連続テレビ小説だろう。近年では『花子とアン』で吉高由里子が話す甲州弁は強いインパクトを残し、現在放送中の『べっぴんさん』で芳根京子は神戸弁を話す。そして、前クールまで放送されていた『とと姉ちゃん』で、静岡の遠州弁を披露した高畑充希は、それ以前から持ち前の高い演技力で方言の芝居をもカバーしてきた。

 今年1月から放送された月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で見せた博多弁や、一昨年公開された映画『アオハライド』でのおっとりとした口調で喋る長崎弁には驚愕させられたものだ。京阪式アクセントを持つ東大阪市出身の彼女が、さも母方言を喋っているかのように違和感なく、異なるアクセントを使いこなす。演技ひとつでもこれだけ奥が深いのだと、つくづく思い知らされるのである。

 他には、昨年放送されていたドラマ『釣りバカ日誌〜新入社員 浜崎伝助〜』で広瀬アリス(静岡県清水市出身)が、上京したてというこてこてのキャラクター設定に負けず、見事な秋田弁を披露していたのも印象深い。こてこてのキャラクター設定といえば、昨年の『ビリギャル』で名古屋弁に果敢に挑んだ有村架純(兵庫県伊丹市出身)はぎこちなさが目立ったが、次の朝ドラ『ひよっこ』で茨城方言をどこまで上手くこなせるか期待したいところだ。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『この世界の片隅に』
11月12日(土)テアトル新宿、ユーロスペースほか全国ロードショー
出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、澁谷天外
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
企画:丸山正雄
監督補・画面構成:浦谷千恵
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
音楽:コトリンゴ
プロデューサー:真木太郎
製作統括:GENCO
アニメーション制作:MAPPA
配給:東京テアトル
(c)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
公式サイト:konosekai.jp

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