永瀬正敏、水崎綾女、河瀨直美『光』クランクアップコメント 永瀬「河瀨組はスペシャルでした」

『光』クランクアップコメント

 河瀨直美監督最新作『光』より、クランクアップを迎えた永瀬正敏、水崎綾女のコメントが公開された。

 本作は音声ガイドの制作に携わる美佐子が、視覚障害者向け映画のモニター会で出会った弱視のカメラマン雅哉と、映画の光に導かれるように互いの心を通わせていく模様を描いたヒューマンドラマ。雅哉を永瀬正敏、美佐子を水崎綾女が演じる。

 撮影は「日本の四季の中で光が一番美しく降り注ぐ、この季節に撮影をしたい」という監督の思いのもと、10月16日から自身の創作拠点である奈良でスタート。約1カ月の撮影を経て、11月14日19時半頃に京都文化博物館にてクランクアップを迎えた。

 河瀨監督は、「明日起きたら、明後日起きたら、奈良にもう雅哉も美佐子もいないのだと思うと、なんだか身を裂かれるような想いがするのです。それほど登場人物たちと一緒に生きていたな、という気がします。クランクインが満月で、とても重要な雅哉と美佐子のシーンを撮った日が新月で、そして今日、クランクアップの日がまた満月。光もすべて味方につけた、俳優たちこそが、スペシャルだと思っています!」と、撮影を終えたばかりの心境を語った。

 河瀨監督と『あん』以来2度目のタッグとなる主演の永瀬正敏は、「終わったな……終わっちゃったなって感じです。なかなか言葉にするのが難しいのですが、魂よりももっと大きなものをフィルムに焼き付けられたらと思いながら日々過ごしていました。弱視から目が見えなくなっていく過程の苦しみや、実際に目の不自由な方々の苦しみを、極力嘘がないようにしたくても、実際の僕は目が見えています。でも少しでも近づきたいと出来る範囲の最大限の事をやり、自分自身に足枷をはめ、視力を失ってからは殆ど食事を取らず雅哉として生きてきました。実際に目の不自由な方々の気持ちを考えたら、僕らの小さな悩みや絶望というのは、大したものではない……そんな風に世の中の観方がこの作品で変わるきっかけにもなったらと思っています。今はまだ客観視はとても出来ないですが、一人でも多くの方にこの河瀨監督が伝えようとしている『光』が届く事を願っています。共に生きた河瀨直美監督、スタッフの皆さん、共演者の皆さんに心から感謝しています。やっぱり僕にとって河瀨組はスペシャルでした」と撮影の日々を振り返った。

 “バリアフリー映画を手掛ける尾崎美佐子”として、撮影前から奈良に住み始め、 約1ヶ月もの間、作品づくりに没頭する日々を過ごした水崎綾女は、「1ヶ月以上“美佐子”として暮らしていたので、先ほど監督に『水崎綾女!』と名前を呼ばれ、急に現実に戻された感じです。私だけ、最初の1週間は台本がないまま演じていて、やがて1日分の台本を頂くようになり、10日前にようやく台本を1冊貰って読ませて頂きました。もう、8割、9割のところまで進んでいて、『あと数ページしかない!』という状況でしたが、そこから作品のヤマが続き、ようやく2日前頃(ゴールという)“光”が見えてきた感じがしました。明日も監督が『やっぱりリテイク(再撮影)したいです』って言ってくれないかなと、少し期待しています。役になりきる為に、もの凄く苦しくて大変だったのですが、撮影が終わってしまうのが本当に寂しい……。まだ河瀨組に身を置いていたいし、美佐子でありたいという気持ちが今は強いです」と言葉を寄せた。

■公開情報
『光』
2017年公開
監督・脚本:河瀨直美
出演:永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、小市慢太郎、早織、大塚千弘、藤竜也
制作ブロダクション:組画
配給:キノフィルムズ
(c)「光」製作委員会
公式サイト:hikari-movie.com

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