『ジェイソン・ボーン』好発進! 歴代『ボーン』シリーズは日本でどう受容されてきた?

歴代『ボーン』シリーズ、日本での受容を検証

 そして、世界興収においても作品評価においてもシリーズ屈指の結果を残した第3作『ボーン・アルティメイタム』は、2007年11月に日本公開。さすがに日本でも16.5億と、ここでちょっと盛り返したわけだが、最終作との触れ込みもあって熱狂的ボーン・ブームが巻き起こっていた世界との温度差は、むしろここでさらに開いたと指摘することも可能だ。年間ランキングは、今ではどんな作品であったから誰も覚えていないであろう『Life 天国で君に逢えたら』に次ぐ35位だった。

 さて、今回の『ジェイソン・ボーン』の日本でのオープニング成績は、そんな『ボーン・アルティメイタム』のオープニングの約106%という数字。こうして並べてみると、「そこまで大幅に上がってないじゃないか」という意見も聞こえてきそうだが、前作公開から今作公開までの9年間における、実写の外国映画、とりわけアクション映画のマスへの吸引力の低下をふまえれば、これは十分に大健闘と言える結果だろう。ちなみに、「2012年公開の『ボーン・レガシー』はどうだったの?」という意見に対しては、マット・デイモンもポール・グリーングラスもいない「ボーン」は『ボーン』シリーズではないと言っておこう。もっとも、あの『ボーン・レガシー』のあらゆる面における不甲斐なさが、マットとポールをこうしてシリーズに呼び戻したという側面は大きいので、作品が作られた意義だけはあったということになるが。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter

■公開情報
『ジェイソン・ボーン』
公開中
監督:ポール・グリーングラス
脚本:ポール・グリーングラス、クリストファー・ラウズ
キャラクター原案:ロバート・ラドラム
出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、アリシア・ヴィキャンデル、ヴァンサン・カッセル、トミー・リー・ジョーンズ
配給:東宝東和
(c)Universal Pictures
公式サイト:BOURNE.jp

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