「ティーンアニメ映画の時代」到来!? 『聲の形』、少ないスクリーン数で異例の大ヒット!

「ティーンアニメ映画の時代」到来!?

 結果的に、1位と2位を国内のアニメ作品が独占することとなった先週末のランキング。この2作品には他にも共通点がある。新海誠、山田尚子ともに、これまでアニメファン以外の間では比較的認知度の低かった監督の作品であること。そして、主人公が高校生のラブストーリーであること。もちろん、『君の名は。』も『聲の形』も「普通の高校生のラブストーリー」ではないし、テーマもモチーフもまったく異なるこの2作を一緒に語るのは少々乱暴ではあるが、物語を構成するシーンの大半が「高校生の男女の日常」であることは、(『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』などの中規模ヒットの前例はあったものの)これまでの長編アニメ映画の大ヒット作では見られなかった傾向だ。

 日本映画の新たな鉱脈とも言えるこの「ティーンアニメ映画」というジャンル。「壁ドンもの」や「ドS男子もの」に代表される実写のティーン映画と違って、アニメ界は才能ある作家やスタジオが限られているため、安易な粗製乱造の道はたどりたくてもたどれないとは思うが、今後も注意深くこのジャンルの成長を見守っていきたいと思う。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。 Twitter

■公開情報
『聲の形』
新宿ビカデリーほか全国公開中
出演:入野自由(石田将也役)、早見沙織(西宮硝子役)、悠木碧(西宮結絃役)、小野賢章(永束友宏役)、金子有希(植野直花役)、石川由依(佐原みよこ役)、潘めぐみ(川井みき役)、豊永利行(真柴智役)、松岡茉優(石田将也役)
原作:「聲の形」大今良時(講談社コミックス刊)
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:西屋太志
美術監督:篠原睦雄
色彩設計:石田奈央美
設定:秋竹斉一
撮影監督:髙尾一也
音響監督:鶴岡陽太
音楽:牛尾憲輔
主題歌:aiko「恋をしたのは」
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:京都アニメーション
製作:映画聲の形製作委員会(京都アニメーション/ポニーキャニオン/朝日放送/クオラス/松竹/講談社)
配給:松竹
(c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会
公式サイト:http://koenokatachi-movie.com

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