石井杏奈が映画・ドラマに引っ張りだこの理由ーー『四月は君の嘘』など出演作から探る

石井杏奈が発する存在感

 女優・石井杏奈の存在感が増している——。先日最終回を迎えた連続ドラマ『仰げば尊し』では弱小吹奏楽部を引っ張る部長・有馬渚を、現在公開中の映画『四月は君の嘘』では、広瀬すず演じる主人公・宮園かをりの親友ながら、同じ男性を好きになってしまう高校生・澤部椿に扮するなど、映画・ドラマで引っ張りだこだ。

 近年、女優としての活動が目立つ石井だが、小学5年生の時に出場したダンス大会でスカウトされ、2011年に“E-girls”のパフォーマーとしてデビューを果たす。子供の頃から芸能界に興味があったという石井だが、当時は“芸能人=女優”だと思っていたとインタビューで語っているように、元々芝居という仕事への憧れが強かった。

 2012年にドラマ『私立バカレア高校』で女優デビューを果たすと、2015年に公開された映画『ソロモンの偽証』で物語の重要な鍵を握る高校生・三宅樹理を演じ注目を集めた。この役はいじめに対して二面性を持つ非常に繊細な役柄だったが、目線や表情、動作で内に秘める闇を表現。成島出監督いわく「頭で考えた芝居ではない」と石井を評したが、本人も「繰り返される稽古で樹理という人物をつかんだ」と発言していた。

 続いて初主演を果たした映画『ガールズ・ステップ』では、クラスで地味な存在で“ジミーズ”と揶揄されていたメンバーたちと共にダンス選手権に出場しようと奮闘する女子高生を好演。こちらは『ソロモンの偽証』とは一転、得意のダンスで躍動感溢れる演技をみせたが、『ソロモンの偽証』と共通するのが「メンバーたちとのダンスレッスンによって役柄をつかんだ」ということ。石井は『ソロモンの偽証』と『ガールズ・ステップ』により第58回ブルーリボン賞新人賞を受賞している。

 役柄理解のための準備はしっかりしているが、頭でがんじがらめに考えるのではなく、その場の雰囲気や相手との距離感で役に入っていく姿勢。自身も「私の芝居によって、受ける相手のお芝居にも影響が出てくる」という自覚があり、臨機応変に柔軟性を持って臨むことの大切さを理解している。『ガールズ・ステップ』や『仰げば尊し』、『四月は君の嘘』など、しっかりと相手に向きあったときに見せる表情や視線、感情が爆発する時の存在感にはハッとさせられることが多い。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる