北川景子、“柔らかくない”上司役が好まれる理由　若手脚本家が『家売るオンナ』の演技から考察

　北川さんのこれまでの芝居は、どちらかというと情緒豊かに恋愛感情などを表現することが多かった印象です。しかし今回の三軒家万智役は、敢えて違ったアプローチで演じているように感じられます。それは役者にとって勇気ある決断ですし、求められる芝居をきちんとやりきっているところに、プロとしての心意気を感じます。

　最近は“柔らかさ”を求められることが多い時代ですが、同時に柔らかくなる方が楽な時代でもあります。“固さ”は時として敵を作りもしますが、それでも信念を持って進もうとする人は評価も得ます。今回、北川さんが抑制の効いた演技で見せている“固さ”は、多くの人々に“強さ”として映っているのではないでしょうか。自分がどうしても大切にしたいものがある時は、譲らない勇気を持ってもいいのだと思います。

■登米裕一
脚本家・演出家。映画『くちびるに歌を』CX『おわらないものがたり』NHK『謎解きLIVEシリーズ』などの脚本を担当。大学時代に旗揚げをした劇団『キリンバズウカ』の主宰も務める。個性豊かな登場人物たちによる軽快な会話の応酬を持ち味としており、若手作家の躍進著しい演劇界の中でも、大きな注目を集める。また演技指導家としても評価を得ており、現在多くのワークショップ依頼を受けている。

■ドラマ情報
『家売るオンナ』（日本テレビ系）
毎週水曜 22時から放送中
出演：北川景子、工藤阿須加、千葉雄大、イモトアヤコ
脚本：大石静
公式サイト：http://www.ntv.co.jp/ieuru/cast-staff/index.html