『エミアビのはじまりとはじまり』ワールドプレミア、渡辺謙作監督が米NYで“アイーン”を披露

『エミアビ』監督、ワールドプレミアに登壇

 米ニューヨークのジャパン・ソサエティーで開催されている「第10回 JAPAN CUTS〜ジャパン・カッツ!」にて、現地時間7月24日、渡辺謙作監督の最新作『エミアビのはじまりとはじまり』のワールドプレミア上映が行われた。

 本作は、『舟を編む』で第37回アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した渡辺が、2008年の『フレフレ少女』以来8年ぶりに監督を務めた人間ドラマ。ある日突然交通事故で亡くなった人気漫才コンビ“エミアビ”の海野の死をきっかけに、相方の実道ら遺された人々が、ふたたび立ち上がる模様を描く。キャストには、森岡龍、前野朋哉、黒木華、新井浩文らが名を連ねる。

 このたび本作のワールドプレミア上映が行われた「JAPAN CUTS」は、北米最大の日本映画の映画祭。10回目の開催となった今年は、本作のほかに橋口亮輔監督の『恋人たち』、大根仁監督の『バクマン。』など、29本の長編作品と21本の短編作品が上映された。

 上映後のQ&Aには渡辺監督が登壇。登場した渡辺監督が、「今回ジャパンカッツに出品されるということで不安だったのは、日本のお笑いの文化を知らない方々が、これを観てどう思うのか? ということでした。漫才、ハリセン、タライというのは、トラディショナルなジャパニーズコメディです。皆さんの反応がとても楽しみでした」と語ると、会場からは暖かな拍手が送られる。

 続けて、「この映画は“死”からの再生の話です。もともと、悲劇と笑いというのはマッチするものだという意識がありました。作っていて、ただ笑うだけ、ただ泣くだけの映画にはしたくないと思いました」と、本作への想いを明かした。

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『エミアビのはじまりとはじまり』ワールドプレミア上映後Q&Aの様子

 観客からの質疑応答には、日本の漫才についての質問が多く寄せられた。劇中で披露される漫才のネタを10本ほど書いたという渡辺監督は、「漫才の台本を書くのはすごく難しい作業でしたが、主演の森岡くんと前野くんがいてくれたから、この漫才は成立できました。今度、実は彼らは実際の漫才グランプリ(M-1 グランプリ 2016)にも挑戦することが決まりました!」と観客に報告。劇中のネタについての質問が挙がると、渡辺監督自ら志村けんの“アイーン”を披露し、会場を爆笑に包む場面も。

 最後に、渡辺監督は「統計はとっていないけども、人間はおそらく1日1回くらいは笑っていると思います。それくらい笑いは日常に根づいていて、人間が必要としているものだと思います。そういうものこそ、一番パワーを持っていると僕は思っています」と力強く語り、トークは終了した。

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■公開情報
『エミアビのはじまりとはじまり』
9月3日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
出演:森岡龍、前野朋哉、黒木華、山地まり、新井浩文
監督・脚本:渡辺謙作
配給:ビターズ・エンド
製作:『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会(ブレス、ビターズ・エンド、ミッドシップ)
2016年/日本/カラー/87分/ビスタ/5.1ch
(c)2016『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会
公式サイト:http://bitters.co.jp/emiabi/

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