滝沢秀明、テレビで“再ブレイク”の予感 30代ジャニーズはどう実力を蓄えるのか

 ここで先ほどの森田剛のケースを思い出したい。森田剛もまた、ただ表舞台から消え去ったわけではなかった。2010年には故・蜷川幸雄の演出のもと、寺山修司原作の舞台『血は立ったまま眠っている』に出演し、その“影のある演技”を先鋭化させ、翌年には宮本亜門の演出のもと主演舞台『金閣寺』を、NYリンカーン・センター・フェスティバルにて成功させている。つまり、森田もまた舞台にて技術を磨いてきたからこそ、いまの再ブレイクにつながったのである。地上波とは異なるステージでしっかりと技術を磨いてきたという意味では、TOKIOも一緒だろう。

 ひと昔前までは、ジャニーズといえばキラキラとしたアイドル性を最大の武器とする、若くてかわいい男の子たちとの印象が強かった。しかし、再評価されているメンバーを見ると、長い芸歴の中で磨き上げた技術でこそ、注目を集めている。ジャニーズという組織には、その若さとキャラクターで一度は頂点を極めたメンバーが、ある分野に特化して学び、本当の意味での芸を身につけて再びメディアで活躍するための土壌があるということだろう。30代で一線に立つことができるのは、とても健全なことでもある。昨今はその体制を批判する向きもあるが、タレントをきちんと育てるという意味では、やはり見るべきものがあるのではないか。

 ところで滝沢の演技力だが、すでに90年代後期から評価が高く、ジャニーズ内で5本の指に入るとの声もある。舞台の座長として、エンターテイメントの裏も表も知り尽くした滝沢は、きっと我々の想像を超える素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

(文=松下博夫)

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