“ゼロ年代ホラーの帝王”は、SNSの恐怖をどう描いた? 『ノック・ノック』の巧みな演出手腕

『ノック・ノック』が描くSNSの恐さ

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 ロス監督は、前作『グリーン・インフェルノ』で、SNSを利用して自己の利益のため他者を断罪する“正義”を断じた。『ノック・ノック』では、逆にSNSを使いこなす美女を通して、実世界で“善良”とされる人間の本質を暴きだす。SNSを使わずとも、リアルな世界でイタイおっさんぶりをさらす人間はいくらでもいるはず。劇中で性欲を爆発させ、ある種の伝説となってしまう情けないキアヌ・リーブスの姿を観て、「自分だけは違う」と思う方こそ、もう一度自身を省みてほしい。残酷描写がなくとも、食人族より身近で怖~い映画。それが『ノック・ノック』である。

■藤本 洋輔
京都育ちの映画好きのライター。趣味はボルダリングとパルクール(休止中)。 TRASH-UP!! などで主にアクション映画について書いています。Twitter

 

■公開情報
『ノック・ノック』
6月11日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開
監督:イーライ・ロス
脚本:イーライ・ロス、ギレルモ・アモエド、ニコラス・ロペス
出演:キアヌ・リーブス、ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマスほか
配給:日活
2015/アメリカ/99分/シネスコ/デジタル/原題:Knock Knock
(c)2014 Camp Grey Productions LLC
公式サイト:http://knockknock-movie.jp/

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