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石田ゆり子 × 井浦新、禁断の恋を描く『コントレール』真のテーマとはーー緊迫の最終回に向けて

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 ドラマ『コントレール~罪と罰~』が、いよいよ最終回を迎える。石田ゆり子の“可憐さ”のみならず、その相手役を演じる井浦新の“儚さ”も、大きな魅力のひとつとなっている本作。井浦が演じているのは、最高裁判事を父に持った前途有望なエリート弁護士でありながら、無差別殺人の現場に遭遇したショックで声を失った男、長部瞭司だ。本作の脚本を書き下ろした大石静は、そのキャラクターについてこんなふうに表現している。「瞭司はあの事件に遭遇するまで、人生で“負けたこと”がなかったと思うんです。お坊っちゃまで、頭が良くて、司法試験にもすぐ受かって、まさに勝ち組の人生。それが、あの事件で一変してしまった。人を殺めてしまうって、決して忘れられる記憶ではないと思うんです。エリートが抱え込んでしまったそんな記憶が、瞭司の儚さを作っているのだと思います」。そう、彼は事件に遭遇したどころか、犯人を取り押さえる際、過って被害者のひとりを死なせてしまったという「過去」を持っているのだ。

 声を失ったことによって弁護士という職を失い、事件後は小さな運送会社のトラック運転手として生計を立てている瞭司。その雰囲気は、確かにどこか世捨て人然とした“儚さ”が漂っている。しかし、その彼は、石田ゆり子演じる主人公、青木文と恋に落ちることによって、徐々に“実体化”してゆくのだった。文との逢瀬を通じて、やがて自らの“声”も取り戻した瞭司。だが彼はあるとき、彼女が自ら殺めた男の妻であることを知ってしまう。「僕らは決して愛し合ってはならない間柄だった。僕はあなたのご主人を殺した男なんです」。そう告白した瞭司は、文との別れを切り出し、二人は再び別々の道を歩み始めることになる。「過去」が生み出した孤独によって結び付けられた二人は、その「過去」によって今度は引き裂かれてしまうのだ。自らが切り盛りしていたドライブイン「コントレール」を畳み、事件以降、付かず離れず自分を支えてくれた刑事・佐々岡(原田泰造)の思いを受け入れ、再婚することを選んだ文。一方、勤務先の運送会社の危機を自身の法律知識によって救ったことをきっかけに、再び弁護士としての活動をスタートさせた瞭司。

 しかし、そんな二人に、またしても「過去」が襲いかかってくる。文の亡き夫、惇の浮気相手であった圭子(桜庭ななみ)が、瞭司の「過去」……不可抗力とはいえ、人を殺めた瞭司の過去をスキャンダル誌にリークし、それが「三代続く法曹一家の汚点」として記事化されてしまうのだ。最高裁判事である父に呼び出され、その脇の甘さを叱責された瞭司は、静かに宣告される。「お前がどこでどのように生きようと、私の息子であることは消せないのだ」。一方、記事のネタ元が圭子であることを確信した文は、彼女のもとを訪れ、問いかける。「どうして過去のことを執拗に持ち出すの? もう犯人は死刑になってこの世にはいない。私たちも事件のことは忘れて、前向きに生きようとしているのよ。お願いだから、事件のことをほじくり返すのはやめて」。しかし、圭子は毅然として言い返すのだった。「私の時計は、惇さんが死んだあのときから止まっているんです」。最も若いはずの圭子が、誰よりも「過去」に囚われているという皮肉。

 そう、当初“許されざる恋”を描くとされていた本作の真のテーマは、“過去の超克”にあるのだった。時勢を反映してか、今クール、かなり多いと言われている“不倫”をテーマとしたドラマ。それらの作品と本作が決定的に異なる理由はそこにある。「生きてることはみんな悲しい。だから、その悲しさを忘れるために、私はあの人を好きになったんだ」。自らをそう納得させることによって、瞭司との恋を文字通り「過去」のものとしようとする文。しかし、それは果たして、彼女の本心なのだろうか? 孤独や寂しさ、あるいは女としての自意識を満たすため……世の多くの“不倫劇”が帰結する、そんな綺麗ごとの先にある本当の“欲望”を、このドラマは見据えようとしているのだ。第7話の最後、文と瞭司と圭子は、3人を結び付けた“始まりの場所”である事件現場で相まみえる。遺恨、不条理、自責……事件によってもたらされた三者三様の思い、それによって生れた“愛情”と“憎しみ”について、率直に言葉をぶつけ合う3人。そこで彼らは、ようやく本当の意味で自分たちの「過去」と対峙するのだった。「過去」を「過去」として忘れ去るのではなく、それによって生じたそれぞれの感情(自分自身の本当の感情も含めて)をすべて受け止めること。「誰のせいでもないのよ」。そう言いながら、文は涙を流す圭子を、やさしく抱きしめるのだった。

      

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