「ゴールデンウィークの2強」に続く3位に初登場、『64-ロクヨン-』が傑作となった理由とは

 そういえば、『ヘヴンズ ストーリー』には、短い出番ではあったが『64』主演の佐藤浩市も出演していた。商業ベースから逸脱することも厭わず、自らのやりたいことをひたすら追求していった『ヘヴンズ ストーリー』における百戦錬磨の経験があったからこそ、『64』は大長編商業映画としてここまで素晴らしい仕上がりになったのではないか。原作の問答無用のおもしろさ、主演の佐藤浩市の熱に引っ張られた若手役者陣の他の作品では見たことがないような好演など、『64』が傑作となった要素はいくつもあるが、何よりも前編、後編の4時間にわたってまったく緊張感が途切れないという点で、『64』は60~70年代に数多くの傑作を生み出してきた日本の犯罪映画史においても出色の出来となっている。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)発売中。Twitter

■公開情報
『64-ロクヨン-前編』
公開中
監督:瀬々敬久
原作:横山秀夫
脚本:久松真一・瀬々敬久
脚本協力:井土紀州
出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝
公式サイト:64-movie.jp

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