映画祭の増加と制作コストの低下は「未来の監督」を生み出すのか? 自主制作映画の現状と課題

自主制作映画の現状と課題

 自主映画に拠点を置く監督達は、その全てが商業デビューを目指すわけではない。しかし、最終的な目標を“商業作品”に見据える面々も一定数存在する。

 コスト面や映画祭の増加といった外的要因以外に、大きな変化はあるのか。先出の映画監督は続ける。「脚本に対する重要性が年々薄れているように感じます。自主制作の場でも、監督と脚本はセットという認識が変わりつつあります。駆け出し頃の年齢の場合、評価のバロメーターとなるのはいかに面白い発想や本が書けるか。ここに集約されるといっても過言ではありません。脚本が軽視されつつある現状は、映画界全体の未来を考えてもマイナス。強い危機感を持っている関係者も多いのではないでしょうか?」

 一概には言えないが、商業映画の第一線で活躍する監督達もその原点は自主映画にある。少し強引に言い換えれば、自主映画と商業映画は表裏一体の存在であり、今後もその関係は続いていくだろう。デジタル化全盛、行政関与など自主制作映画を取り巻く環境は変わりつつあるが、そのプラス面とマイナス面を再認識する必要もあるのかもしれない。

■栗田シメイ
1987年、兵庫県生まれ。広告代理店勤務を経て、2012年よりフリーに。スポーツシーン・ビジネス・海外情勢を取材し、専門誌・情報誌・週刊誌・Webなどに寄稿。「MG」にて映画コラム連載中。生涯鑑賞本数は2,000本以上。

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