水谷豊、監督に初挑戦! 元天才タップダンサーと若きダンサーたちの“師弟の物語”描く

水谷豊、タップダンス映画で初監督に挑む

 俳優の水谷豊の初監督作『TAP THE LAST SHOW』の製作が発表された。

 本作は、ショービジネスの世界の“光と影”を描いたタップダンス映画。タップダンサーとしての成功を夢見ていたが、大きな怪我を患い、今は酒に溺れた生活を送る元天才タップダンサーの渡新二郎が、旧知の劇場支配人・毛利から「最後のショーを演出してほしい」という相談を持ちかけられたことから、自分が垣間見た世界を、若きダンサーたちに託そうと決意する模様を描き出す。キャストには、監督と主演を兼任する水谷をはじめ、北乃きい、清水夏生、六平直政、前田美波里、岸部一徳らが名を連ねる。

 本作の企画の立ち上がりは、約40年前、23歳の水谷が思い描いていたストーリーが基になっている。当時は実現に至らなかったが、2015年に水谷から話を聞いた遠藤プロデューサーが、その内容を「面白い!」と思い、水谷の話を基にプロットを作成。その後、脚本家の両沢和幸の手により、物語が作り上げられていった。遠藤プロデューサーは、「最初は少しボリュームのある脚本を書いてもらい、そこから水谷さんはじめスタッフの意見を基に、少しずつ内容を削っていく作業を重ねました。決定稿が出来るまで6回程改定を重ね、第7稿目でようやく脚本が完成しました」と語る。

 「プロデューサーとして水谷さんと仕事をしたことがある人間は、“この人の監督作品を見てみたい”と誰もが一度は思うはず」と語る遠藤プロデューサーは、水谷自身に監督をオファーするに至った理由について、「水谷さんの思い描いている世界観を画に出来る人は、ご本人しかいないのでは」と思ったからだと明かす。監督を打診された水谷は、「過去、工藤栄一監督から“豊は監督をやった方がいい。”と薦められたことがありましたけど、まさか自分が監督をやるなんて思っていませんでした。2週間くらい悩みましたかね…」と振り返る。初監督に挑むことについて水谷は、「人生は何が起こるかわかりませんね。でも、60歳を超えて新しい何かに挑戦できるということ、それも監督という大役に挑戦できるのはとても幸せなこと」とコメントした。

 また、元天才タップダンサーと若きダンサーたちの“師弟の物語”について、水谷は、「以前、ブロードウェーでショーを見たときに、涙があふれてきたことがありました。本当に凄いダンスは、それだけで涙が出るものだと知ったのです。でも、どのダンスのジャンルにしても、トップダンサーであっても自分の教室を持って生徒を集めて行かないと、食べていくことができにくい世界。本当はダンスだけで食べていけることが理想だと、皆さん思っているはずです。でも、現実はそうはいかない…。そういう世界がそこにあることを、しっかり見せたい」と、ショービジネスの世界を描きたいと話す。オーディションで選ばれた若きダンサーの数は総勢300人強。とにかく本格的なタップダンスをみせることにこだわる水谷が自らオーディションにも参加し、5人の若手メインキャストが選ばれた。また、本作には、現在の日本のタップダンス界を牽引する、ダンサーであり振付師のHIDEBOHがダンス監修として参加している。

 本作で監督と主役を兼任することについては、「俳優と監督は、いわゆる“角度”が違うので、2つを同時に進めても大変だとは感じないのです。ただ、周囲からは顔つきというか、何かが違うとは言われていますね。なんというか、面構えのようなものが違うと。楽しそうに見えるのかもしれません」とコメント。さらに、「皆さんが僕の事を“監督”“監督!”って呼ぶんですけど…思ったより違和感はないですね。俳優は常に役名で呼ばれることになれてますから、役名で呼ばれている感覚と似ているんです」と、“監督”と呼ばれることにも慣れたというが、「自分の役(=主役)に関して考える時間が無いんです(笑)。人の役柄についてはしっかり答えられるのですけど…自分の役だけはまだノープランです(笑)。これは初めての経験ですね。多分、撮影当日までには役のイメージが降ってくると思います(笑)」と、不安も覗かせている。

 『TAP THE LAST SHOW』は、4月5日にクランクインし、4月30日にクランクアップ予定。公開は2017年を予定している。

■公開情報
『TAP THE LAST SHOW』
2017年公開予定
監督:水谷豊
出演:水谷豊、北乃きい、清水夏生、六平直政、前田美波里、岸部一徳
(c)2017 TAP Film Partners

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