シャーロット・ケイト・フォックス、ドラマで引っ張りだこの理由は“大和撫子”感にあり?

 今から約一年半前、透きとおるような白い肌とブロンドの髪をもつ一人の女性が朝のテレビ画面に現れて視聴者たちを魅了した。NHK連続テレビ小説『マッサン』のヒロイン・エリーを演じたシャーロット・ケイト・フォックスである。朝ドラ史上初の外国人ヒロインに抜擢された彼女は、見事に役を演じて人気者となり、現在も活躍中だ。外国人でありながら、日本で非常に愛されているシャーロット。それは、彼女の姿に日本の古来よりの魅力的な女性像、大和撫子(やまとなでしこ)らしさがあるからではないだろうか。

 『マッサン』でシャーロット・ケイト・フォックスが演じたのは、大正時代、ウイスキー製造を夢見た“マッサン”こと亀山政春(玉山鉄二)の妻でスコットランド人の女性・エリー。まだ、外国人が物珍しかった時代の日本でマッサンの母親(泉ピン子)から結婚を反対されるのに始まり、ごはんがうまく炊けなかったり、日本のしきたりを知らなかったりと生活は困難の連続。ときには偏見の目で見られ、戦争時にはスパイ容疑をかけられてしまう。しかし、幾多の苦難にもめげずに愛する夫とともに、日本人として生き抜こうとしたエリーは、非常にけなげなキャラクターとして見る者の心をつかんだ。

 日本人になると決心して、自身のお国柄は奥にしまいこみ、懸命に日本語や日本料理を覚え、でしゃばらずに夫のマッサンを立てつつ支え続けたエリー。彼女はある意味、日本人よりも日本人らしい奥ゆかしさがあるといってよかった。そして、このエリーという役柄は、異国の地でドラマの主役という大任を果たそうと頑張るシャーロット・ケイト・フォックス自身とリンクしていた。当初、日本語がしゃべれなかったエリー=シャーロットが、どんどん言葉が上達していく姿からは、まさに日本に懸命になじもうとしているエリー、そして、シャーロット自身のひたむきさがよく伝わってきて、海の向こうからやってきた女性がこんなに日本にとけこもうとしてくれているのだ…と、多くの人に感動を与えたように思う。

 大和撫子(やまとなでしこ)とは、美しく奥ゆかしい日本人女性を表す言葉、そして、撫子(カワラナデシコ)は、白や淡いピンクの清楚な花を咲かせる。外国人の女優というと、たとえば、ハリウッド女優の多くは華やかできらびやかなイメージがあり、日本で活躍する外国人及びハーフのタレントも、語学力、美貌、スタイルなど、“日本人離れ”した魅力で注目を集めるケースが多いが、シャーロット・ケイト・フォックスは、清楚で奥ゆかしい、むしろ、日本女性たちがもつ昔ながらの撫子の淡い花のような清楚な美しさがあり、加えて自身が日本人に寄りそっていく努力をした結果として、日本人から愛されるようになったといえるだろう。

 そして、奥ゆかしさとともに忘れてはならない、シャーロット・ケイト・フォックスのもう一つの魅力が、ときおり見せる茶目っ気である。もともと、『マッサン』に起用された理由として、プロデューサーが「ズバ抜けた演技力とコメディーセンスを発揮した」(引用:連続テレビ小説「マッサン」マッサン&エリー主役夫婦発表します!)と語っていたが、『マッサン』でも、“鴨居の大将”こと鴨居欣次郎(堤真一)を真似て腕を組んでみせる場面など、エリーのコミカルなしぐさにくすっとさせられる場面があった。

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