町山智浩、松江哲明、原一男ら、メキシコ麻薬戦争の真実に迫る『カルテル・ランド』に絶賛コメント

『カルテル・ランド』に町山智浩らがコメント

 5月7日よりシアター・イメージフォーラムほかにて公開される映画『カルテル・ランド』に、映画評論家の町山智浩、松江哲明監督、森達也監督ら著名人がコメントを寄せた。

 『カルテル・ランド』は、メキシコ麻薬戦争の最前線に乗り込み、自ら麻薬カルテルに立ち向かう人々の姿を追ったドキュメンタリー映画。麻薬カルテル“テンプル騎士団”による抗争や犯罪が横行し、一般市民を巻き込んだ殺戮が繰り返されているメキシコ・ミチョアカン州で、過酷な状況に耐え兼ねた医師のドクター・ホセ・ミレレスが、銃を手に市民たちと自警団を結成し、無謀な戦いに挑む模様を描く。

 『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグローが製作総指揮を務め、アメリカの医療制度を描いたドキュメンタリー『Escape Fire: The Fight to Rescue American Healthcare(原題)』が様々な映画祭で賞を受賞したマシュー・ハイネマンが、監督・製作・撮影・編集を手掛けている。第88回アカデミー賞では、長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた。

 このたび本作にコメントを寄せたのは、最新作『FAKE』の公開を控える森達也監督、映画評論家の町山智浩、フェイクドキュメンタリードラマ『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』の松江哲明監督、『ゆきゆきて、神軍』の原一男監督ら、各界で活躍する著名人たち15名。作品をいち早く鑑賞した感想をコメントしている。

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(c)2015 A&E Television Networks,LLC
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著名人コメント一覧

森達也(映画監督・作家・明治大学特任教授)コメント

観終えてあなたは惑う。正義はどこにあるのかと。そして次に気づく。どこにもなかったのだと。

星野智幸(作家)コメント

今、この作品を見て戦慄を覚えたことに感謝したい。
なぜなら、誰もが権力を持ったとたん暴力の誘惑に屈していく社会に、日本もなりつつあるから。

町山智浩(映画評論家)コメント

観客が引こうとする善悪のボーダーラインを次々に踏みにじる展開の果て、覚醒剤を精製するカルテルのメンバーが着る服に戦慄した!

松江哲明(映画監督)コメント

こんな恐ろしいドキュメンタリーが存在すること自体どうかしているのだが、
映像表現の基準はこのようにして更新されてしまうのだ。

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)コメント

誰にも勝ち目のない麻薬戦争、その悲惨な実態を多角的に描いた優れたドキュメンタリーです。
この取材、撮影、編集...淡々としていますが、驚くべき出来映えです。

宮崎学(作家)コメント

この「戦争」には、正義も悪もない。
あるのは貧困からの脱出を夢想する民衆の生きる術(ルビ:すべ)だけだ。国境の北の米国との「差」にただ驚かされる。

堀潤(ジャーナリスト・キャスター)コメント

“良心の声に耳を傾けたら全てが台無しになる”
ジャーナリズムに命を売った者でしか聞き出せない圧倒的な言葉の数々に打ちのめされた。心が震える。

小川和久(軍事アナリスト)コメント

バグダッド以上に危険。年間1万人超の死者。麻薬組織は今年も女性市長を殺害。
自警団が犯罪集団かも。700社の進出日本企業必見の抗争実録だ。

猪瀬直樹(作家)コメント

善と悪の戦いが息をつかせぬテンポで展開する。
だが時計の針のように輪を描いて戻っていく。こんな不条理劇がドキュメンタリーになるとは!

伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)コメント

国家が法の支配を提供できない時、民衆は自ら銃をとる。自警団。
やがて、暴走、分裂。民衆の脅威になってゆく。ここはシリアでもイラクでもない。

佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)コメント

私戦を戦う男たちの生きざまが、壮絶すぎて圧倒的。
善と悪がくるくると入れ替わり、あまりにもリアルなメキシコ麻薬戦争の現実に驚愕しました。

黒川博行(作家)コメント

メキシコ・ミチョアカン州、アメリカ・アリゾナ州における
麻薬カルテルと自警団の戦いを淡々と撮った映像だが、訴えるものは大きい。
出口のない恐怖と悲劇。なにが正義で、なにが悪なのか、
答えのない現実を突きつけられる秀作ドキュメンタリーだ。

杉山セリナ(キャスター・タレント)コメント

一体、善とは何なのか。
改めて善悪の複雑さを見せつけられた。
メキシコ麻薬戦争の闇の深さを再度感じさせられた映画だと思った。

デーブ・スペクター(放送プロデューサー)コメント

耐えるか戦うか苦渋の選択。出口が見えない悪循環のドラッグ戦争。
ニュースで語りきれない潜伏取材の力が凄まじい。

原一男(大阪芸術大学客員教授/映画監督)コメント

自衛のためであろうが、悪政・権力側であろうが、銃という凶器が本質的、必然的にもたらす暴力の連鎖と人間の愚かさを、
かくも無残なまでに、冷酷に、かつ非情に描いた作品を私は見たことがない!
空前のハードボイルド・ドキュメンタリーの傑作である!

『カルテル・ランド』予告編

■公開情報
『カルテル・ランド』
5月7日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかにて公開
監督・撮影:マシュー・ハイネマン
製作総指揮:キャスリン・ビグロー
配給・宣伝:トランスフォーマー
2015年/メキシコ・アメリカ/100分/原題:CARTEL LAND
(c)2015 A&E Television Networks,LLC

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