米アカデミー賞は本当に日本の映画興行に影響をもたらさなくなったのか?

アカデミー賞、映画興行への影響力は?
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 先週末初登場1位となったのは、春休み映画恒例の『ドラえもん』最新作、『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』。土日2日間で動員54万4816人、興収6億3703万5600円という数字は、最終興収39億3,000万円を記録した前作『のび太の宇宙英雄記』の初週興収(6億4,473万5,500円)の98.8%と、このシリーズ特有のすさまじい安定感を証明している。

 『ドラえもん』映画の第1作目『ドラえもん のび太の恐竜』が公開されたのは、今から36年前の1980年3月15日のこと。そして、驚くべきことに興収的には、30年以上が経過した2010年代に入ってから再びピークを迎えている。シリーズ最高興収作品は2013年公開の『のび太のひみつ道具博物館』の39億8,000万円だが、低調な仕上がりだった前作よりも作品の評価が高く、またオリジナル版『のび太の日本誕生』(1989年)に愛着のある大人の観客の集客も見込める本作は、36年目にしてシリーズ新記録樹立の可能性がかなり高いと予想しておこう。

 今週注目したいのは4位に初登場した『マネー・ショート 華麗なる大逆転』。214スクリーンでの比較的大規模での公開ということを考えると、動員8万4,008人、興収1億1,581万4,100円という数字は目を見張るほどの好成績ではない。しかし、金融という作品のテーマ、日本ではヒット実績のないコメディ畑のアダム・マッケイ監督作、同じく『ダークナイト』シリーズ以外では日本でヒット実績のないクリスチャン・ベール主演作品(ブラッド・ピットやライアン・ゴズリングというスター俳優も出てはいるがあくまでも脇役)ということを考えると、十分に健闘していると言ってもいいのではないか。

 今年のアカデミー賞で5部門にノミネートされていた『マネー・ショート』。結局受賞したのは脚色賞のみで、作品賞のオスカー像は『スポットライト 世紀のスクープ』にわたったものの、事前には本作を作品賞の最有力候補として挙げる関係者も多く、公開直前のオスカー・シーズンには映画ファンの間で大いに話題となった一作だった。

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