>  > 桜井ユキ『フローレンスは眠る』インタビュー

桜井ユキが語る“遅咲き”のメリット「24歳までに経験したことが演技の引き出しになっている」

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藤本涼
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 桜井ユキが出演するクライムサスペンス映画『フローレンスは眠る』が、TOHOシネマズ日劇にて現在公開中だ。同族企業の内情にスポットを当て“フローレンスの涙”というブルーダイアモンドをめぐる男たちの争いを描いた本作で、桜井は誘拐犯と共謀するヒロイン・氷坂恵役を演じている。2015年、桜井は石井岳龍監督作『ソレダケ/that's it』や園子温監督作『リアル鬼ごっこ』などに出演し、2016年には月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)に抜擢されるなど、いま勢いのある女優のひとりだ。現在29歳の桜井は、本作にどのような心境で臨んだのか。

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桜井ユキ

「恵に対しては共感と一緒に嫌悪感も覚えました」

ーー今回演じた役・氷坂恵に対する印象を教えてください。

桜井ユキ(以下、桜井):人に対して壁があるタイプで、ネガティブな側面も強い人物だと感じました。一見つらい思いを経験してきたように見えますが、彼女が受けている不幸は自分で引き寄せたものであって、誰かに作られたものではない。なのに、自分は可哀想な女だと悲観しているところは、ちょっと無責任だなと。共感できる部分もありますが、一人の人間として彼女をみた時に「なんてずるい女なんだろう」と思うこともありました。

ーーどういうところに共感できましたか。

桜井:嫌なことが起きた時に悲壮感を漂わせてしまうところは似ているかもしれません。それに、自分に原因があるのに、それを誰かのせいにしてしまう節は私にもあります。こういうと語弊があるかもしれませんが、自分を悲劇のヒロインに仕立て上げるのは、“女の子あるある”だと思います(笑)。

ーー同性として、理解はしやすかったと。

桜井:彼女の気持ちに寄り添うのに時間はかからなかったです。ただ、共感と同時に嫌悪する感覚もあったので、自分の中に葛藤も生まれました。表に出していないだけで、私の中にも悪い心やずる賢い部分は必ずあることに、改めて気づかされたというか。演じる上ではそうした感情もうまく活かそうと、恵になりきるというよりも、自分のパーソナリティと恵のキャラクターを近づけていくイメージで臨みました。私の持っている感情を恵に足してみたり、その逆を試したり。恵は演じやすいキャラクターでしたが、自分の嫌な部分や掘り返したくない感情と向き合う必要があったので、苦しく思う瞬間も少しありました。

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「役になりきるのではなく感情を重ねていく」

ーー構えて「演技をしよう」とするのではなく、シンクロしていく感じ?

桜井:そうですね。演じることばかりに熱中すると、かえって嘘くさくなるような気がするんです。嘘っぽさは観ている人をしらけさせる一番の原因だと思っているので、そうはならないように気を付けています。どんなに一生懸命演じても、私は私でしかないので、無理に役になりきろうとは思いません。たとえ容姿が同じであったとしても、心の部分が浮ついていると、そのキャラクターに違和感が生じるはずで、だからこそ、行動や仕草を作り込むよりも感情を重ねた方が、よりリアルに見えるんじゃないかなって。

ーー桜井さんは、24歳でキャリアをスタートしています。役者としては少し遅めな印象もありますが、その辺りはどう捉えていますか。

桜井:女優活動を始めたばかりの頃は焦りがありました。もう少し早く始めれば良かったって。ただ役者としての経験を重ねていくうちに、演技は人間力によって培われていくのだと思うようになりました。20〜24歳までの4年間で経験した色々なことが、私のお芝居の中に生きていて、演技の引き出しになっている。演技に限らず、私自身の精神面の強さにも繋がっていると考えています。

ーー振り返れば、24歳から始めて良かった、と。

桜井:そうかもしれません。もしもその4年間がなければ、ここまで来ることもできなかったと思います。それに、演技の基礎を教えてくれたワークショップの先生をはじめ、監督や演出家の方など、その時に出会った人がいたからこそ現在の私があります。スタートが遅いからと言って、ほかの誰にも負ける気はないし、私はブレずに目標としている場所を目指すだけですね。

ーー現在、月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)にも出演していて、女優として着実にステップアップしていると感じます。

桜井:いろんな役を演じさせていただけるのは嬉しいですが、慢心しないよう仕事が増える度に気を引き締めるようにしています。昔と比べると役の数が増えたことで、演技と向き合う時間がどんどん増えてきていますが、それでもひとつひとつの役を丁寧に演じることは怠りたくない。いくら名前が売れたとしてもそこに驕りを持ちたくないし、演じることを軽く見るようにはなりたくないです。

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