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アラフィフ男性の恋愛ドラマはなぜ増えた? “21世紀版寅さん”久留里卓三の魅力から考察

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お義父さんと呼ばせて
ドラマ
久留里卓三
内藤裕子
最後から二番目の恋
東京センチメンタル
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 2016年冬ドラマのライナップで、ひときわ目をひくカテゴリーがあった。「50オトコの恋愛」ものだ。ひとつは『お義父さんと呼ばせて』、もうひとつは『東京センチメンタル』である。

 近年50オトコの恋愛を描いたドラマとして、記憶に新しいのは小泉今日子、中井貴一主演の『最後から二番目の恋』だ。鎌倉を舞台にいわゆるアラフィフ同士の男女二人が繰り広げた恋愛コメディは続編やスペシャルドラマも制作されるほどの人気を博した。しかし、今季の恋愛ドラマは少し様子が違う。50オトコが主人公となって若い女性と恋愛模様を織り成していくのだ。

 さて、50代男性が恋愛対象として注目されはじめたのは、2007年に『カレセンー枯れたおじさん専科』(アスペクト)(*1)が出版された頃にさかのぼる。50代以上の男性を好む30代以下の若い女性を「カレセン(枯れ専)」(*2)と称し、ムーブメントが起きた。以来、「枯れ専」はオジさま好きな若い女性の代名詞にもなり、いまでも根付いている。『カレセンー枯れたおじさん専科』によると、彼らの魅力として、「一人の時間をもてあまさない」「携帯やメールに依存しない」「金や女を深追いしない」「自分の人生を受け入れている(若ぶらない)」などが挙げられている。あれから約10年、今どきの中年男性の実態はどうなのだろうか。

 「枯れ専」ブームの影響を受けてか、近年インターネットのナレッジコミュニティには50代男性からの恋愛相談が持ち込まれるようになったという。なかには、プラトニックな関係を呈しているにも関わらず、男性が20代の女性に対し「脈があるのではないか?」と考え、さらに冷え切った関係の妻と別れて、あわよくば彼女と第二の人生を歩みたいと恋愛への希望を密かに抱いているという相談もあった。(*3)また、いまどきの50代はバブル世代にあたり、恋愛をよりカジュアルに捉え、結婚2度目であっても、お見合いより恋愛結婚を望む人が多く、20代、30代より恋愛願望が強いともいわれている。(*4)

 つまり、今どきの50オトコは、枯れてなんかいないようだ。落ち着いたオトナの魅力をにじませながらも、その胸の内は恋愛に対してアグレッシブで、若いときと変わらずに謳歌しようという姿勢を保っている。

 ドラマ『東京センチメンタル』(テレビ東京)の主人公、久留里卓三(吉田鋼太郎)もまさにそんな今どきの50オトコを体現している。東京・下町にある言問橋の老舗和菓子屋「くるりや」を営む55歳、私生活では3度の離婚経験があり、いまなお独身だ。普段は、白衣に眼鏡をかけて和菓子職人として黙々と店頭に立つも、訳ありのマドンナが卓三のもとを訪れるたびにアルバイトの須藤あかね(高畑充希)に店番を託し、中折れ帽を被っては一眼レフカメラをぶらさげ、コートを翻してデートに出かけてしまう。

 これまでに登場したマドンナは、親友の妻、日暮里のキャバクラ嬢、21歳の大学生、イタリア帰りのバイオリニストと、年齢も境遇もバラバラだ。みな、卓三の優しさを頼りにしてくるりやを訪れ、卓三はその都度ほのかな恋心を抱きながら、東京・下町をマドンナと共に歩く。まるで映画『男はつらいよ』シリーズを彷彿させるストーリー展開だ。

     
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