サミュエル・フラー監督が現代社会に伝えるメッセージーー“ハリウッドの異端児”の作品を振り返る

サミュエル・フラーの作家性に迫る

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『チャイナ・ゲイト』 (c)1957 MELANGE PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 最後に、その連続上映の目玉、『チャイナ・ゲイト』を紹介しておこう。この映画は、フラーが1957年に制作した作品で、今回の連続上映が日本初公開となる。内容は、第一次インドシナ戦争を舞台に、さまざま人間ドラマを描きだすというもの。唐突に挟まれる銃撃戦など、フラーの大胆な編集と演出も随所で楽しめる。この映画についてもフラーは、『サミュエル・フラー自伝』にコメントを残している。

「この映画では、理解と寛容を訴えたかったのだ。(中略)われわれの子どもたちが戦争などもう起こらない未来を過ごせるように、もっと思いやりのある世界規模の考え方をするのが、この地球という名の小さな惑星に生きる人々の責務である」

 今回『チャイナ・ゲイト』を観るのは、ほとんどがその“子どもたち”だろう。はたして、フラーの願いに私たちはしっかり応えられているのか? 劇場に足を運んで確かめよう。

(文=近藤真弥)

■公開情報
『『サミュエル・フラー自伝 私はいかに書き、闘い、映画を作って来たか』刊行記念サミュエル・フラー連続上映会』
2月20日(土)よりユーロスペース(東京・渋谷)他、順次全国公開
提供:マグネット・コミュニケーションズ
配給:boid
CHINA GATE (c)1957 MELANGE PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
SHOCK CORRIDOR (c)1963 F&F PRODUCTIONS,INC. ALL RIGHTS RESERVED.

■書籍情報
『サミュエル・フラー自伝 わたしはいかに書き、闘い、映画を作ってきたか』
発売中
価格:6,000円 (税込)
著者:サミュエル・フラー、クリスタ・ラング・フラー、ジェローム・ヘンリー・ルーズ

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