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クレジットされないもうひとりの主人公ーー『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』が名作たる理由

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不動産事情を通じて描く、人生の大事なもの

20160129-newyork-sub01.jpg(c)2014 Life Itself, LLC All Rights Reserved

 「良いニュースと、悪いニュースがある。どっちを先にする?」

 これはあらゆる映画に用いられる常套句だが、本作でも人々が口にする場面が幾度もある。その度にモーガンとダイアンは、互いに顔を見合わせて「??」という表情をする。だんだんと観客も彼らの思いに気が付き始めることだろう。だって世の中、どちらが良くてどちらが悪いのか、一概には判断できないことばかりだから。右往左往していると見るべき景色など何も見えてきやしない。

20160129-newyork-main.jpg(c)2014 Life Itself, LLC All Rights Reserved

 その意味でも、この映画は浮き沈みの激しいニューヨークの不動産事情をうまく人生の妙味と重ね合わせて描いている。大事な答えは、きっと、40年間連れ添って築き上げてきた、その関係性や記憶の中にこそある。

 結論は単純だが、しかしそもそも映画とは、その多くが単純で、だからこそ時代を貫く普遍性が生まれるもの。そこに光を与えるのは俳優の演技や、語り口だ。そうやって当たり前の結論が、観客の中で新たな鼓動となって更新されていく。モーガン、ダイアン、そしてニューヨークよ、ありがとう。思わずそう呟きたくなる、ハートウォーミングな名作である。

『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』予告編

■牛津厚信
映画ライター。明治大学政治経済学部を卒業後、某映画放送専門局の勤務を経てフリーランスに転身。現在、「映画.com」、「EYESCREAM」、「パーフェクトムービーガイド」など、さまざまな媒体で映画レビュー執筆やインタビュー記事を手掛ける。また、劇場用パンフレットへの寄稿も行っている。Twitter

■公開情報
『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』
2016年1月30日(土)、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、109シネマズ二子玉川ほか全国順次公開
監督:リチャード・ロンクレイン
脚本:チャーリー・ピータース
出演:モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン、シンシア・ニクソン、クレア・ヴァン・ダー・ブーム、コーリー・ジャクソンほか
2014年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/92分
原作本:ジル・シメント『眺めのいい部屋売ります』(小学館文庫)
(c)2014 Life Itself, LLC All Rights Reserved
公式サイト:http://www.nagamenoiiheya.net/

      

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