スピルバーグ、ハワード、ゼメキスーー ハリウッド大御所の新作「軒並み総倒れ」状態を考える

ハリウッド大御所監督「興行不振」を考える

 スピルバーグほどじゃないにせよ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス、『アポロ13』のロン・ハワードといえば、スピルバーグに続く「ハリウッド映画好きならとりあえず必見」の人気ブランドだった。そして、これが最も重要なことなのだが、『ブリッジ・オブ・スパイ』も『白鯨との闘い』も『ザ・ウォーク』も、各監督の衰えを感じさせないどころか、それぞれにとって新たな代表作の一つと言ってもいい秀作なのだ。それでも、各作品の公開初週において『ブリッジ・オブ・スパイ』は公開5週目の『orange』にも及ばず、『白鯨との闘い』は公開6週目の『orange』にも及ばず、『ザ・ウォーク』は公開7週目の『orange』にも及ばないという現実(『orange』ばかり引き合いに出してしまってすみません!)。

 少々突飛な比喩かもしれないが、それは、郊外にショッピングモールができたことによって、すっかり客足が遠のいてしまった駅前の老舗デパートの様子を思い起こさせる。そして現在の状況は、その郊外のショッピングモールを支えていた大きなチェーン店(テレビドラマ映画)も倒れかけているということ。今年に入って音楽業界や芸能界は大きな変わり目を迎えているが、映画業界もまた、同じように大きな変化の季節を迎えているのかもしれない。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)、2016年1月16日発売。Twitter

■公開情報
『ザ・ウォーク』
公開中
原題:The Walk
原作:「TO REACH THE CLOUDS」 by フィリップ・プティ
監督:ロバート・ゼメキス
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ベン・キングズレー、シャルロット・ルボン、ジェームズ・バッジ・デールほか
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.thewalk-movie.jp/

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