正月映画のダークホースとなった『orange –オレンジ-』、その強さの秘密

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 『スター・ウォーズ』と『妖怪ウォッチ』の空中戦が繰り広げられている今年の正月興行において、その1週前に公開されて初登場1位、『スター・ウォーズ』&『妖怪ウォッチ』公開後はずっとそのすぐ下の3位をキープし続けてきた『orange –オレンジ-』が、先週末は4位と一つランクを落としたものの、最終興収25億突破は確実、30億にどこまで近づけるかという段階に入っている。その数字は、昨年公開されたティーン向け実写日本映画のヒット作となった『ストロボ・エッジ』や『ヒロイン失格』を超えて、『ビリギャル』(累計興収28.3億)に迫るもの。土屋太鳳演じるヒロインの相手役となった山崎賢人は、『ヒロイン失格』に続いてこれで2作連続して出演作が大ヒットしたことになる。「ティーン映画界の新プリンス誕生」と言っていいだろう。

『orange –オレンジ-』の原作である高野苺の『orange』は、少女漫画誌(「別冊マーガレット」)で連載され、1年強の休載期間を経て出版社が異なる一般漫画誌(「月刊アクション」)に移って連載を終了した、タイムトラベル要素を含んだちょっと変わり種のラブ・ストーリー。一部でその作品世界のユニークさを高く評価されていたものの、いわゆる「誰もが知る大ヒット漫画」ではなかった。本作がヒットした要因はいくつか考えられるが、その一つには、そんな「知る人ぞ知る作品」のおもしろさ(主に「泣ける」要素だろう)をまだ知らない人にも伝えたいという、口コミやSNSでの拡散の動機付けが明確だったことが挙げられる。

 それに加えて、土屋太鳳&山崎賢人というNHKの朝ドラ『まれ』で夫婦役を演じていた2人が、ドラマの記憶も鮮やかなうちに映画で再共演を果たしたというそのキャスティングも、客層の幅広さ、そして都市部以外での強さに繋がったはずだ。近年スマッシュヒットが続出しているティーン向け恋愛映画の興収の限界は、客層が完全にティーンに集中すると25億あたりだということを数字が示しているが、そこを超えるプラス・アルファが本作にはあったということだ(それは『ビリギャル』も同様だった)。

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