曲がり角にきた超優良コンテンツ『相棒』 今年の元日スペシャルにおける変化の兆し

 とはいえ、物語における最も重要な仕掛けはクライマックスまで見破れなかったし、そこでのキーパーソンとなった武田梨奈(アクションシーンがなかったのはもったいない!)が予想以上の大活躍だったことも含め、2時間半飽きずに楽しむことができただけで、元日スペシャルとしては及第点とするべきかもしれない。ちなみに、ハロプロ・ファンの間では武田梨奈の役名「植村明梨」がまたしてもハロプロ・メンバーの名前由来だったこと(真野脚本の『相棒』で前例が複数回あり)が話題となっていたようだが、個人的には石坂浩二と古谷一行、つまり映画版金田一耕助とテレビ版金田一耕助の共演(画面上での絡みはなかったけど)がお正月に実現したことに静かに興奮していた。30代以上の人ならわかってもらえると思うけど、一昔前まで、お正月のテレビにおける推理ものといえば、『相棒』ではなく、なぜか市川崑監督の金田一映画の深夜放送だったんですよ。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)、1月16日発売。Twitter

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