ジャニーズの時代劇先駆者=東山紀之は、『信長燃ゆ』でどんな「織田信長」像を提示するのか

東山紀之が見せる新たな織田信長

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近衛信基(佐藤隆太)

 その後、東山は数々の時代劇に出演。中でも、『源氏物語』('91年)の光源氏役は橋田壽賀子ドラマだけあり、長台詞が多く難易度の高い脚本で、初めて逃げようとさえ思ったそうだが、結果として見事に演じきった。そして『琉球の風』('93年)で、ジャニーズで初めてNHK大河ドラマの主演を勝ち取るのである。俳優としての才覚が世間に認められた結果だ。現在、数々のジャニーズのタレントが大河ドラマで主役を張っているのは、東山の功績があってこそだろう。時代劇は視聴者以上にスタッフの目が厳しい世界というが、映画畑出身ではないアイドルが主役の座を得るまでには、相当な努力があったに違いない。いまや時代劇の中でも特に人気の高い『必殺仕事人シリーズ』と『大岡越前』の主演を任されている東山は、すでに一流の時代劇俳優といっても過言ではないだろう。

 数多くの時代劇を経験している東山だが、信長を演じるのはこれが初めてだ。ビジュアル的には申し分ないが、信長のイメージは野心的な部分が強いので、誠実でストイックな雰囲気を持つ東山がどう演じるのかが気になるところである。『信長燃ゆ』の山鹿プロデューサー曰く、「信長の絶対的なカリスマ性、スター性、残虐性を描いていますが、そこに東山さんが人間的な一面を入れていただいたことで、人物により深みが出まして、観る者の心に残る決定版となっています」とのことだ。また、今回は信長と対立する朝廷側の勧修寺晴子を栗山千明が演じ、ロミオとジュリエットのような恋愛劇も描かれるようで、東山にしかできない新たな信長像を見ることができそうだ。

 ジャニーズからは他に、森蘭丸役で中島裕翔(Hey! Say! JUMP)と、森坊丸役に神山智洋(ジャニーズWEST)がキャスティングされている。ふたりとも重要な役どころなので、偉大なる先輩との掛け合いも含めて期待したいところである。

 東山の時代劇俳優人生において、極点となりうる『信長燃ゆ』。時代劇ファンなら、これを見逃す手はないだろう。

(文=本 手)

◼︎ドラマ情報
新春時代劇 『信長燃ゆ』
2016年1月2日(土)夜9時
製 作:テレビ東京/東映
公式サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/nobunaga.moyu/

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