世紀の頂上対決!  動員は『妖怪ウォッチ』、興収は『スター・ウォーズ』で決着!

動員は『妖怪ウォッチ』、興収は『SW』に

 ただ、この結果をもって「『妖怪ウォッチ』の勝利、『スター・ウォーズ』の敗北」とするのは完全な早とちりだ。1日早い公開だったこともあって、累計ですでに6万人以上&5億円以上の差をつけている『スター・ウォーズ』の動員&興収を『妖怪ウォッチ』がこの先一瞬でも抜くことは至難の技だろう。昨年の結果からもわかるように、日本映画界のあらゆる初動記録を塗り替えた『妖怪ウォッチ』第1作は、結局累計では約78億の「年間3位」という凡庸な記録で、入場者プレゼントに牽引された極端な初動型興行。対する『スター・ウォーズ』は平日にも強く(公開4日目となる本日月曜日は、まだ小学生が2学期中ということもあって『妖怪ウォッチ』を圧倒している)、また2回、3回と劇場に足を運ぶリピーターの数も他の作品とは比べものにならないほど多い。そう、実は勝負という点ではもう決まっていて、初動で敗北を喫したディズニーの『ベイマックス』が翌週以降も数字をキープして、超初動型『妖怪ウォッチ』を突き離していった昨年同様、いや、それ以上の差で、今年も勝者はディズニーの『スター・ウォーズ』であることは間違いない。

 しかし、全米をはじめ世界中で歴代の初動記録を更新しまくっているのに比べると、日本における今回の『スター・ウォーズ』フィーバーは世代的(30代以上)にも地域的(都市型)にも今の時点ではやや限定されている。とは言え、ファンからの評価は概ね高く、女性主人公のレイや、新キャラクターのBB-8が早くも支持されているのを見ると、女性客や子供客にまだ伸びしろはあるはず。公開規模、広告費、タイアップ量、今後の続編&スピンオフ展開を踏まえると今回の『スター・ウォーズ』にとって100億円は最低でもクリアしなくてはいけないラインだと推測できるが、その可能性はまだ十分にあると予想しておく。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)、2016年1月16日発売。Twitter

■公開情報
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
公開中
監督:J.J.エイブラムス
脚本:ローレンス・カスダン
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(c)2015 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved

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