『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』が興収では2位なのに、動員では3位になった理由

『I LOVE スヌーピー』、客層の実態は?
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 12月に入って、遂にクリスマス&正月興行が本格的にスタート。先週末の動員ランキングは上位の5作品すべてが初登場。中でも、完全な独走状態で1位に輝いたのは『007 スペクター』。動員26万2663人、興収3億6222万1200円という土日2日間だけの数字を取り出すと、前作「007 スカイフォール」の8割弱の数字だが、初日金曜日を含めた3日間では動員34万6701人、興収4億7150万8100円。さらに、11月末の3日間限定先行公開を含めると、6日間で動員63万2959人、興収8億5598万3900円という堂々たる成績だ。

 ちなみにこの『007 スペクター』、日本での公開日は世界各国の中でもかなり遅い方だったが、今のところ公開されたすべての国で初登場1位を記録している。これ、当然のようでいて、近年、海外の映画マーケットとの乖離がますます進んでいる日本でもちゃんと1位を獲るというのは貴重なことになりつつある。さすが、60〜80年代の「洋画黄金時代」を過ごしてきた観客層に支えられている『007』シリーズ! と思いきや、これまでの作品と比べて若い女性客の比率が増えているという報告も。ダニエル・クレイグがボンドになって今回で4作目、史上最もスタイリッシュでクールなクレイグ・ボンド像がようやく女性の観客層にも浸透してきたということだろうか。

 初登場2位は唐沢寿明主演の『杉原千畝 スギハラチウネ』。329スクリーンで公開され、土日2日間で動員11万8453人、興収1億4538万9600円。そして、その約2倍の653スクリーンで公開された『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』は、動員11万4709人、興収1億5387万6000円で初登場3位。『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』の方が1日早い金曜日公開だったことをふまえると単純に数字を比較すべきではないかもしれないが、スクリーン数、そして何よりもそのキャラクターの知名度の高さを考えると、もうちょっと大きな数字が期待されていたはずだ。

 興味深いのは、土日2日間の数字だけ見ても、実は興収においては『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』が『杉原千畝 スギハラチウネ』を上回っていること。これはどういうことか? 普通に考えると、子供の客が多そうな『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』の方が動員は伸びても興収の数字が低めに出て、ほとんどが大人の客に違いない『杉原千畝 スギハラチウネ』の方は興収面で有利なはず。ところが、『杉原千畝 スギハラチウネ』の客はどうやら「大人過ぎた」(つまりシニア料金の年齢層の客の比率が高かった)ようだ。逆にいうと、『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』は3D作品であることから3D(及び4DX)上映におけるエキストラ料金が上乗せされていることもあるが、作品のイメージに反して子供の客をあまり取り込めていないことも数字が物語っている。

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