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先行上映は週間ランキングに入らず? 映画興行界の不思議なしきたり

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 11月最後の週末となった28、29日の興行ランキング。前週の3位から1位になった『リトルプリンス 星の王子さまと私』は動員6万1016人、興収7801万0200円。前週と同じ2位をキープした『ガールズ&パンツァー 劇場版』は動員4万1957人、6493万3050円。いずれも上位作品としては目を疑うほどの空前の低い数字だが、実際に先週末の日本全国の劇場で何が起こっていたかというと、金曜日の11月27日から29日まで先行上映された『007 スペクター』が3日間で動員28万6,251人、累計興収3億8,446万円という好記録を叩き出していた。しかし、先行上映の数字は慣例的に週末ランキングには計上されないんですよね。変なの。

 では、『007 スペクター』先行上映のその4億弱という数字は正式な公開初週となる来週の週末ランキングに計上されるのかというと、それもなし。配給サイドが発表する初動の累計には計上されるものの、週末ランキングはあくまでも、正式な公開日が過ぎてからの土日の数字の集計だけで発表される。これ、昔は違っていて、先行上映の数字も思いっきり公開週のランキングに反映されていた時期もあって、それで「初週10億超え」みたいなことがたまに起こっていた(現在のランキングでそんな数字があり得るとしたら『スター・ウォーズ』か『妖怪ウォッチ』くらいでしょう)。

 このように、日本の興行ランキングの数字というのは、その時々の特有なルールに則った「読み方」が必要とされるもの。そうじゃないと、「『リトルプリンス 星の王子さまと私』が首位に躍り出た!」みたいな文言をそのまま信じてしまうことになる。ちっとも「踊り出て」はいません。

 今週映画ファンの間で話題となっているのは、先日からネットで出回っている2015年の「年間映画興行収入ランキング」。ちなみに、そのランキングでは、1位『ジュラシック・ワールド』、2位『ベイマックス』、3位『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』。ベスト3のうち2作品が2014年12月の公開作となっている。これ、正式には来年1月に入ってから日本映画製作者連盟から発表されるものなのだが、その基準となるのもその年の11月公開作まで。現在公開中の作品に目立ったヒット作がないので順位はもう決定した、というわけ。

 12月公開作の場合、年をまたいで数字を積み上げていくわけだから、11月公開作までを年間ランキングの対象とするというのも、それはそれでリーズナブルではあるのだが、さすがにベスト3のうち2作品が前年公開の作品となると違和感を覚えずにいられない。気が早いけれど、来年の2016年年間ランキングも、2015年公開作品が上位に入るのは確実。2015年映画界最大の事件である『スター・ウォーズ』の復活は、映画興行の記録としては「2016年の出来事」となるのだ。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「ワールドサッカーダイジェスト」ほかで批評/コラム/対談を連載中。今冬、新潮新書より初の単著を上梓。Twitter

■公開情報
『リトルプリンス 星の王子さまと私』
公開中
監督:マーク・オズボーン
キャラクターデザイン:ピーター・デ・セブ
キャラクター監修:四角英孝
音楽:ハンス・ジマー
キャスト(英語版):ジェフ・ブリッジス、マッケンジー・フォイ、レイチェル・マクアダムス、ジェームズ・フランコ、ベニチオ・デル・トロ、マリオン・コティヤール
(日本語版)鈴木梨央、瀬戸朝香、伊勢谷友介、滝川クリステル、竹野内豊、ビビる大木、津川雅彦 ほか
日本語吹替版主題歌:「気づかず過ぎた初恋」松任谷由実
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:www.littleprince.jp
(c)2015 LPPTV – LITTLE PRINCESS – ON ENT – ORANGE STUDIO – M6 FILMS – LUCKY RED

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