2PM・ジュノ主演『二十歳』が描く、男子たちの情けない恋愛模様とその魅力

2PM・ジュノ主演『二十歳』の新鮮さ

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 映画の中でギョンジェは、ある女性を慰め、世の中には悪い男と付き合う女がいて、そして、そんな女を慰めるしかない情けない男(それは自分だ)が存在することを知る。

 日本の作品のわかりやすい例として『花より男子』でいえば、ドSキャラの元祖ともいえる道明寺司は「悪い男」で、癒し系王子の元祖ともいえる花沢類は「慰めるしかない男」である。そして、そんな「悪い男」と「慰めるしかない男」で、多くの日本の青春ラブ・コメディはできている。しかし、それはヒロインの目線で描かれることがほとんどであるから、「慰めるしかない男」(「悪い男」も同様に)の情けなさ、かっこ悪さが語られることはない。

 それはなぜか。昨今のラブコメディの観客は女子で、女子の妄想に忠実なものが人気であるからだとか、そもそも少女漫画原作が多いために、ヒロインの心情のほうが描かれているということもあるかもしれない。また、男子が女子を獲得するために右往左往すること(を恋ということかもしれない)がさほど求められておらず、そんな作品が少ないために、男子の心情の吐露が見られないのかもしれない。

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 ヒロイン目線のラブ・コメディも楽しいが、そんな作品しか見られないのも残念だ。男子が恋に対する感情を「このせつなさや情けなさは何なのか」と自問したっていいはずだ。『二十歳』の三人の男性主人公は、情けなさを自覚しているから、かっこ悪いところもあるけど、なぜかそんなかっこ悪さが心に残る。

 今、青春映画に欠かせない若手イケメン俳優たちが主体の、かっこ悪さも焦燥感も描いた等身大のラブ・コメディというものが日本でも存在したら、意外と女性たちの関心を引くかもしれないのにと、この『二十歳』を見ていると思われるのだった。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■公開情報
『二十歳』
2015年11月28日(土)より、シネマート新宿 シネマート心斎橋ほか全国ロードショー中
配給:NBCユニバーサル・エンターテイメント
配給協力:アーク・フィルムズ
公式サイト:http://www.kandera.jp/sp/hatachi
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