国内アニメ映画の勢力図が変わる!? 『ここさけ』興収10億突破が日本映画界にもたらすもの

『ここさけ』興収10億突破の意味

 人気テレビアニメの映画版だった『あの花』に対して、『ここさけ』は完全オリジナル作品。その点を考慮すると、これは快挙と言うべきだろう。公開直後の瞬発力こそぼちぼちだったが、アニメ作品としての新鮮さと優れた内容が口コミで広がったのと、日本全国55回にも及ぶ舞台挨拶行脚が効いたようだ。オリジナル劇場用アニメ作品で興収10億突破となると、スタジオジブリが制作部門を休止させた今となっては、国内には細田守監督作品しか存在しない領域。自分も公開直後に劇場で『ここさけ』を観たが、子供連れやオタク層が中心の他のアニメ映画とは違って、観客のほとんどがいわゆるリア充系の10代20代の若者たちで、カップルがやたら多かったことに少なからず驚かされた。もし、このまま『ここさけ』チームがアニメ映画界の第二勢力として根付いていくことができたら、新たな観客層の開拓という意味でも、日本映画界&日本アニメ界全体にとって大きな刺激となるだろう。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「ワールドサッカーダイジェスト」ほかで批評/コラム/対談を連載中。今冬、新潮新書より初の単著を上梓。Twitter

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