北野映画の常連役者たち――『龍三と七人の子分たち』を含む全作品から出演歴を検証

北野武映画の常連役者たちを考察

ビートたけし

20151009-ryuzo-sub5th_.jpg

 

 さて、ここまででまだ肝心な北野映画常連俳優をひとり挙げていなかった。全17作すべての監督であり、俳優としても作品内に出演する北野武=ビートたけしである。といっても17本すべてに登場しているわけではなく、本人は出演せず監督のみに徹している作品は3本ある。すなわち『あの夏、いちばん静かな海。』(1991)、『キッズ・リターン』『Dolls』である。

 さらに出演作14本は、主演/助演によってふたつに分けることができる。だが、明確に主演と定めても問題なさそうなのは『その男〜』『ソナチネ』『HANA-BI』『BROTHER』『座頭市』『TAKESHIS'』の6本だけだろう。『菊次郎の夏』は子役の関口雄介扮する正男とのダブル主役とでもいうべき内容だし、『監督・ばんざい!』は一応出ずっぱりではあるが、セリフがほとんどなく、主役というよりも作品内の象徴的存在といった佇まい。『アキレスと亀』は主人公の成長に合わせた3部構成で、たけしの登場は第3部から。『アウトレイジ』『アウトレイジ ビヨンド』で演じた大友は物語の中心にいる人物ではあるが、ヤクザ群像劇的な性格の強いこのシリーズでは、メインキャストそれぞれが主役と言ったほうが正しいのかもしれない。

 明確に助演(脇役)なのは、『3-4X10月』の沖縄ヤクザ・上原(これも沖縄編に入ってからは主役といってもいい存在感だったが)、『みんな〜』の透明人間推進協会博士(映画後半の満を持しての登場感が楽しかった)の2本。本作『龍三〜』の村上刑事役もこの系譜に含まれるだろう。

 至極当然のことではあるが、映画で撮影された役者はフィルムに焼き込まれ、作品内に永遠に定着する。作品外の俳優は我々観客と同じく年を取っていくが、作品内のキャラクターは年を取らない。この当たり前の事実は、過去の北野映画にその時々の姿を定着させた俳優たちの、本作での年月を重ねた姿を観たときに改めて実感させられる類のものだろう。それは、本作のテーマ「老い」とも関連してくる摂理である。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。Twitter

■作品情報
『龍三と七人の子分たち』
10月9日(金)よりDVD&Blu-rayリリース
「特装限定版」 ※2枚組
Blu-rayスペシャルエディション(BD+DVD)¥7,000(税別)
DVDスペシャルエディション(DVD+DVD)¥6,000(税別)

<特典ディスク(DVD)>
★総尺150分超えの豪華特典ディスク付き!
メイキング「北野流 ジジイ映画の作り方」(ナレーション:下條アトム)(76分) 
キャストインタビュー(一龍会 その壱/一龍会 その弐/京浜連合&ママ)(33分)
完成披露試写会舞台挨拶(11分)初日舞台挨拶(21分)島田洋七さん スペシャルトーク(15分)
ミニ特番「俺たちに明日なんかいらない ジジイが最高スペシャル!!」(2分)海外版予告編(1分) /総尺159分

「通常版」
Blu-ray¥4,800(税別)BCXJ-1029
DVD ¥3,800(税別)BCBJ-4714
<特典内容>
【映像特典】
★特報 ★予告 ★TVスポット ★特別映像「ジジイ映画の楽しみ方」
発売・販売元:バンダイビジュアル  
(C)2015 『龍三と七人の子分たち』 製作委員会

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる