チャリンコ版『マッドマックス』!? 『ターボキッド』に漂う、中学生男子の妄想的ポップ感

チャリンコ版『マッドマックス』に漂う中二感

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 ただし、「中学生男子の妄想だから」では許されないくらい、端的にいうとイイ加減な部分もある。主人公のヒーローとしての能力の獲得などは“超展開“といっていいし、そこで乗り切れない人も出るだろう(私自身も最後まで「?」が付いて回っていた)。せっかくの自転車というアイテムを容易しておきながら、アクション映画の小道具として活きてこないのも残念だ。

 とはいえ、粗は確かにあるものの、それらも含めて男子中学生の妄想的だとも言えるし、それが独特の味わいを出しているのも事実だ。

 ささやかでキラキラで血みどろな、ナンセンス・ドタバタコメディとしては 十分に楽しめる映画だろう。夢見がちな中学生男子の脳内を覗き見してしまったような、「ある日、いきなり美少女が現われてさ、突然謎の力を授かってさ、悪党と戦ってさ、そして…」そんな物語を布団にくるまって空想した、すべての男子のハートをやさしく刺激するのは間違いない。

■加藤ヨシキ
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

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■公開情報
『ターボキッド』
10月3日(土)~10月9日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋

10月24日(土)~10月30日(金)名古屋シネマスコーレにてレイトショー
2016年1月13日(水)Blu-ray・DVD発売&レンタル同時リリース

監督・脚本:フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン・カール・ウィッセル
製作総指揮:シェイキッド・ベレンソン『ネバダ・バイオレンス』『キル・オール!! 殺し屋頂上決戦』『MEGA SPIDER メガ・スパイダー』、ジェイソン・アイズナー『ホーボー・ウィズ・ショットガン』『ABC・オブ・デス』『V/H/S ネクストレベル』、パトリック・エウォルド『悪魔の椅子』『グリズリー2010』
製作:アント・ティンプソン『ABC・オブ・デス』
音楽・撮影:ジャン-フィリップ・バーニアー
編集:ルーク・ハイ
2015年/カナダ映画/93分/スコープサイズ/原題:TURBO KID
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