峯田和伸、『ピース オブ ケイク』単独インタビュー 役者業のこと、仕事論、銀杏BOYZの現在

峯田和伸『ピース オブ ケイク』インタビュー

「ジョージ朝倉先生の作品は、ハードボイルドの中に、ちゃんとロマンの要素もある」

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——なるほど。あと、これは今回の『ピース オブ ケイク』を観た感想なんですけどね、トモロヲさんのこれまでの監督作品と違って、今回の作品って本当に普通の女子大生やOLさんがスッと作品の中に入っていける作品で。もちろん、原作がそういう原作だからというのもあるんですけど、それだけじゃなく、すごく開かれた作品の作り方をしていることが印象的だったんですよ。

峯田:僕もそう思いました。「こういう作品も撮れるんだなー」「すごいなー」って。

——恋愛マンガの映画化作品って、昨今たくさん作られていますけど、どっちが優れているかとかではなく、それらの作品と並べても普通にシネコンとかで機能する作品っていう。そこにちゃんと踏み込んでる。

峯田:一口に日本映画って言っても、作品によって色合いが全然違うと思うんですね。バジェットもそうだし、キャストの集め方もそうだし。そんな中で、今回トモロヲさんの作品としては規模も大きい作品で、そこでトモロヲさんができたことも、できなかったこともあったと思うんですけど、側でその姿を見てて「すごく頑張ってるなぁ」って思ったし。結果、すごくいい作品になってよかったなって。

——そう。作品の足腰がすごくしっかりしているから、峯田さんがスクリーンに出てきたときの異物感も、ちゃんと作品世界の中に吸収されているというか。

峯田:異物感ってどういうことですか!?

——だって、異物じゃないですか。松坂桃李くんとか、木村文乃さんとかと並んだら、異物でしょ(笑)。

峯田:そうなんですかね。僕はもう、そういうことはまったく考えずに、僕ができることをやっただけです!

——いや、別に悪く言ってるわけじゃないですよ(笑)。最初は異物感があったけど、観てるうちに作品の中にちゃんと溶け込んできて、それでも存在感があって、素晴らしかったですよ。

峯田:ありがとうございます(笑)。

——さっきの仕事の「受け」の話じゃないですけど、この『ピース オブ ケーク』で綾野剛さんが演じている主人公の京志郎って、基本、恋愛に関して「受け」の人じゃないですか。相手に惚れられて、それで付き合って、別の2人を相手にそれをズルズルと引きずって三角関係をこじらせるという。そこに、なにか共感するようなところはありましたか?

峯田:共感ってのはないですけど、最初に原作のマンガを読んだとき、すごくおもしろくて。女性が描いたマンガなのに、なんでこんなに男のやりきれない感じがわかるんだろうって。本当に男性の心理を描くのが上手だなって思って。他の女性向けのマンガを読んだりすると、「男は、こんなときにこんなこと思わないし、普通は、ガーッとヤッちゃうんだよ」とかって思ったりするんだけど、ジョージ(朝倉)先生のマンガだと、そういうとき、ちゃんとヤッちゃうんですよね(笑)。

——確かに(笑)。逆に、男の表現者で、女性の心理描写に長けた人ってジャンルを問わず本当に少ないですよね。

峯田:男の人の場合はね、やっぱりどこかにロマンが漂っちゃうんですよね。で、女性の場合は、わりとハードボイルドになっちゃうんですよ。でも、ジョージ先生の作品は、ハードボイルドの中に、ちゃんとロマンの要素もあって。多分、一歩間違ったらね、ただのチャラい恋愛ものになっちゃうんだけど、ジョージ先生の執念というか、魂というのが、それで終わらせないっていう。その部分に感動したんですよね。

——峯田さんが主人公の京志郎の立場だったら、志乃(多部未華子)とあかり(光宗薫)、どっちにいっちゃいます? 自分は、観ながら「あぁ、完全にあかりにやられちゃうわ」と思ったんですけど。

峯田:どうだろうなぁ? ……でも、アパートの隣の部屋に住み始めた子が、偶然バイト先も一緒になったりしたら、そこに勝手に運命を感じて志乃の方にいっちゃうかな。いいじゃないですか、バイト帰りに2人で一緒に帰るとか(笑)。

——峯田さんって、バイトとかやってた時期ってあります?

峯田:大学に通ってた頃はずっとやってましたよ。パン屋の工場とか、焼肉屋とか、派遣の仕事で埼京線の線路に砂利撒いたりとか。

——バイト先で知り合って、付き合ったりとかは?

峯田:ないないない。派遣の仕事で、ワゴンに乗って現場に行くんですけど、そこで隣に座るおばちゃんに毎朝ゆで卵をもらったりとか、そのくらいの思い出しかない(笑)。だから、憧れますね。今でも、コンビニとかで女の子と一緒にバイトしてみたいですよ。

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