Wolfgang Amadeus Mozartの記事一覧

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親がマネージャーを務め、子供が芸で稼いだ金で暮らすといった家族の生活は現代の芸能界でも多々みられる形態である。
「神童」として知られるモーツァルト。彼の生涯はベートーベンと異なり、エリート街道まっしぐらといった感じであるが、そんな単純な見識だけでは語れないぐらいに実は奥が深い。
「神童」というイメージがついたのは、幼いころの類稀な音楽的才能に起因する。一度聴いた曲を即興で演奏して見せたり、絶対音感をもっていたことが周りの大人たちを驚喜させたのである。だが、それもこれも父親レオポルトの徹底した教育の賜物なのだ。また、「神童」といっても作曲うんぬんというより、“芸”の部分での才能を指しているといえる。なにしろ、そういった音楽技能に精進しすぎ、モーツァルトはほとんど生活能力に疎かったという話であるから——。結局、ヨーロッパ中を金儲け旅行し、才能と健康を日々削っていくことになるのだった。
一旦モーツァルトへのイメージをフラットにして、改めて彼の音楽に触れてみよう。『ジュピター』や『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』などに代表される交響曲での、重厚で気品あふれる作風には卒のない精緻な才能が如実に表われている。また、『フィガロの結婚』『魔笛』などのオペラ音楽におけるドラマチックでファンタジックな雰囲気は、空想の世界へ思いを馳せることの高揚感を聴き手に与えてくれるだろう。
36歳でこの世を去ったモーツァルト。——彼の最高級の楽曲を耳にすれば、いかなる先入観も吹き飛んでしまうことは間違いない。

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