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クセのあるテクノ賢者がウヨウヨはびこるドイツ・ケルンのミニマル・シーンにおいて、もっとも論理的でシュールな視点をもつ男、トーマス・ブリンクマン。ひとつひとつの音のズレから生じる揺らぎ(=グルーヴ)を最大限に引き出す魔術師だ。
リッチー・ホウティンによる伝説のプロジェクト、<Concept>シリーズのアルバム『CONCEPT 1 96:VR』(98年)では、トーンアームを2本に改造して、2つの曲を同時に鳴らすことができるターンテーブルを駆使したリミックスを披露。レコードの溝にナイフでキズを入れてシーケンスを構築し、その音をイコライジングするという、極めて原始的な手法を用いた作曲も行っている。00年の来日時には、シーケンサー2台をDJミキサーで操るライヴ・パフォーマンスで聴衆を魅了。純粋無垢な音像が鼓動のように鳴り続け、ときに大地をも揺るがすほどのダイナミックなベース音が襲い掛かる多重人格トラックは、一度聴いたら病みつきになること請け合い。表情豊かな電子音の羅列は、どこか温かみを感じさせる。
ちなみにブリンクマンは、ディスコ・サンプルを執拗に反復させるソウル・センターや、ジャズのフィーリングを放つエスター・ブリンクマンといった別名義でも活躍している。

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