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セラピー?は90年代のアイルランドを代表するバンドのひとつ。戦火の絶えぬ町ベルファスト出身らしく、熱く、かつ生真面目なまでの激しさに彩られたロックは、デビュー10年が経過したいまも衰えを見せない。
アンディ・ケアンズ(vo&g)、マイケル・マッキーガン(b)のふたりを中心とするトリオとして89年に結成され、90年には自らのレーベル<マルチ・ファッキング・ナショナル>を設立、シングルを発表。その後ロンドンのインディ、<ウィージャ>と契約して91年にミニ・アルバム『Babyteeth』を、92年に2枚目のミニ・アルバム『Pleasure Death』を発表、いずれも絶賛を浴びる。そして同年メジャーの<A&M>と契約、1stアルバム『Nurse』を発表する。翌年2ndアルバム『Troublegum』が全世界で50万枚以上のセールスをあげ、一躍U2に続いてもっとも次代に期待されるアイルランドのバンドとなる。
ハスカー・ドゥやブラック・フラッグ、ミニストリー、ブラック・サバスといったバンドを引き合いに出されることも多かった初期セラピー?は、当時猛威をふるっていたアメリカのグランジへの回答という評価をされていた。だが彼らの場合はよりストレートで屈託のないパンクらしさが前面に出ていた。もちろんそれは巷に氾濫するオプティミスティックな様式パンクとは一線を画する、もっと根元的でエモーショナルなものだ。
バンドは何度かメンバー・チェンジを繰り返しながらもコンスタントにライヴ活動を展開し、アルバムを発表し続けている。ダンス・ミュージック全盛の現在のイギリスの状況を反映して、それふうなアルバムを作ったりもしたが、01年発表の6作目『Shameless』は、グランジの本場シアトルに飛び、ニルヴァーナやマッドハニーなど初期シアトル・グランジ・バンドの大半を手がけたエンジニア、ジャック・エンディーノをプロデューサーに迎え制作され、原点に回帰したようなパワフルでストレートなパンク/ロックンロール・アルバムとなって、ファンを喜ばせた。 (小野島 大)

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